◆肺炎クレブシエラ [Klebsiella pneumoniae]
腸内細菌科に属するグラム陰性の通性嫌気性桿菌で、他の腸内細菌科の細菌に比べるとやや大きい。厚い莢膜を持つが芽胞や鞭毛は持たないので運動性はない。ブドウ糖を発酵的に分解して酸と多量のガスを産生し、乳糖を分解するので大腸菌と似ているが、莢膜を持つので、平板培地の上での集落はこんもりと盛り上がり、粘り気があるので白金線や白金耳では取りにくい細菌である。ヒトの腸管や気管に普通に存在し、正常細菌叢を形成しているが、その外にも自然界からも容易に分離される。呼吸器感染症の原因菌として知られているが、その外にも尿路感染症や敗血症、髄膜炎の原因にもなる。化学療法剤に抵抗性があるので、日和見感染や菌交代症の原因菌としても重要。