◆バクテリオシン [Bacteriocin]

 細菌が産生するタンパク質性の1群の抗菌性物質をいう。1925年、A. グラチアによって発見されて以来、大腸菌のコリシン、緑膿菌のピオシン(アエルギノシン)などが知られている。バクテリオシンは他の抗菌性物質と次の点で異なっている。
   (1)本体はタンパク質性の高分子(分子量数万)物質からバクテリオ・ファージの尾部のような構造や膜様構造をもつものがあること
   (2)抗菌作用の範囲がきわめて狭く、それぞれの産生菌に近い細菌にのみ抗菌性があること
   (3)感受性菌の表層の特定部位に吸着して作用すること
   (4)産生はプラスミド遺伝子(バクテリオシン因子)に支配されていること
   (5)作用機序はDNA、タンパク質の阻害あるいは細胞膜障害(電位差の消失)など
である。産生細菌は上記以外にサルモネラ、赤痢菌、エルビニア、ある種のブドウ球菌、粘液細菌、バチルス、クロストリジウム、バクテロイデス、放線菌などが知られている。

関連 細菌
関連 タンパク質
関連 大腸菌
関連 緑膿菌
関連 バクテリオ・ファージ
関連 プラスミド
関連 サルモネラ菌
関連 赤痢菌
関連 ドウ球菌
関連 粘液細菌
関連 放線菌