◆ハプト藻類 [Haptophyceae]

 ハプトネマとよばれる細胞器官をもつことが特徴である単細胞性の藻類の1群で、有色藻門の中のハプト藻綱(プリムネシウム藻綱)を構成する。葉緑体に含まれる光合成色素である葉緑素クロロフィルとフコキサンチンで光合成を行うが、同時に細菌や有機物粒子を餌として取り込む種もいる。ハプトネマは細胞から伸びる鞭毛によく似た糸状の器官で障害物に対するセンサー、基への付着、餌の捕獲などの役割を担っている。ハプト藻はハプトネマのほかに、細胞が有機質や石灰質の鱗片で被われる点が特徴的である。とくに石灰質の鱗片は円石(coccolith)とよばれ、これをもつハプト藻が海底に沈積して石灰岩を形成する要素の一つになっている。
海洋には広く大量に分布し、一次生産者としても重要である。ときには赤潮状態にもなり、その円石のため海面が白く着色することもある。円石をもつハプト藻は二酸化炭素を石灰として固定するので、地球温暖化防止に大きく貢献していると思われるが、同時に揮発性の有害な硫化アルキルであるジメチルスルフィド(DMS)を大気中に放出し、大気汚染を引きおこしているとも考えられている。また、有害なハプト藻であるクリソクロムリナとプリムネシウムは大量に発生して養殖魚の大量斃死(へいし)を引きおこしたことがある。

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