◆下痢性貝毒原因微細藻
   [Diarrhetic shellfish poisoning microalgae]

 下痢性貝中毒(diarrhetic shellfish poisoning: DSP)はディノフィシス属やプロロセントラム属の渦鞭毛藻が原因となる日本で最初に発見された貝中毒である。麻痺性貝毒と同様に二枚貝のようなプランクトン・フィーダー(プランクトンを餌にする動物)が毒化する。下痢性貝毒はわが国ばかりでなくヨーロッパや北アメリカ、オセアニアにも広く分布することが明らかになっており、この貝中毒も世界的な問題になりつつある。
この貝毒は脂溶性の数種の成分からなるが、これらの成分は構造の違いで3群に大別されている。どの成分もポリエーテル化合物であるが、これらのうち下痢原性をもち、原因となる渦鞭毛藻との関係が明らかにされているのは、オカダ酸(okadaic acid: OA)と、その誘導体であるディノフィシストキシン 1(dinophysis toxin 1: DTX 1)である。
この貝中毒の症状は下痢、腹痛がおもな症状でこれまでに死亡した例はない。しかし、これらの毒成分は発ガン促進作用があるので注意が必要である。わが国では東日本を中心に貝類の毒化がおこっているが、この場合も原因プランクトンの出現が1リットル当り1,000細胞程度の低密度でも貝類の毒化がおこるので、赤潮のような海の外観からは毒化の予測ができない。また、わが国ではこの貝毒の場合も出荷に際しての毒性規制値が定められており、これを上回ると市場へだすことができない。

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