◆病原性大腸菌毒素
   [Pathogenic Escherichia coli toxins]

 病原性大腸菌には以下のような5種類があり、いずれも激しい下痢、発熱、腹痛、嘔吐などの症状を現すが、それぞれ別の毒性因子(細菌毒素)を産生する。それらの因子には
   (1)腸管病原性大腸菌による細胞付着因子
   (2)腸管侵入性大腸菌による志賀赤痢菌毒素に似た細胞侵入因子
   (3)腸管毒素原性大腸菌によるコレラ菌毒素に似た熱に弱い腸管毒素と熱に強い腸管毒素
   (4)腸管出血性大腸菌による志賀赤痢菌がもっている細胞毒素でもあるベロ毒素(1と2)
   (5)腸管凝集付着性大腸菌による細胞付着因子と熱に強い腸管毒素である。
ベロ毒素はベロ細胞とよばれるアフリカミドリザルの腎臓細胞に強い壊死(えし)・溶解作用をもっている。これらの大腸菌の中で、病原性大腸菌O157:H7は腸管出血性大腸菌の中の一つで、この細菌がだすベロ毒素が激しい血便をともなう溶血性尿毒症の原因であろうと考えられている。

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