◆ヒラメのラブドウイルス
[Hirame (Flounder) rhabdovirus (HRV)]
ラブドウイルス病は1984年に兵庫県で海面の生簀(いけす)内で飼育されていたヒラメに発生し、続いて北海道、香川県でも陸上で海水飼育されていたヒラメに発生した魚病である。その症状は体表や鰭(ひれ)、筋肉内に充血や出血がみられ、腹部が膨れ生殖腺が鬱血(うっけつ)する。死亡率は数%から90%を超える場合もある。ヒラメ病魚から魚類の伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)に似たウイルスが分離され、その後、近畿、四国地方で飼育されていたアユやクロダイ、さらに韓国から輸入されたメバルからも同じウイルスが分離されたので、感染する魚類はかなり広いと考えられる。
原因ウイルスはラブドウイルス科に属するが、同じラブドイウルス科に属するサケ科魚類の伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)や出血性敗血症ウイルス(HRV)とは違い、ヒラメで発見された経緯から、ヒラメ・ラブドウイルスとよばれている。ウイルス粒子の形はIHNウイルスと同様に弾丸型で、大きさは80×160-180nmである。このウイルスは15-20℃でよく増殖し熱には非常に弱いが、冷凍(-20℃以下)でも生存している。
現在、ほかのウイルス病と同様に薬剤による治療はできない。しかし、消毒には有機ヨード剤や紫外線が有効であるから、充分な消毒と飼育水温を15℃以下に保つことで発病を抑えることができる。
鬱血(うっけつ)
サケ科魚類の伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)
ラブドウイルス
出血性敗血症ウイルス(HRV)
消毒
有機ヨード剤