◆補体 [Complement(s)]

 ヒツジの赤血球(抗原)で免疫して得られた抗血清(抗体)と、ヒツジ赤血球を反応させると溶血現象がみられるが、その抗血清を加熱処理(非働化:56゚C,30分)すると溶血しない。しかし、新鮮な正常無処理血清を加えると再び溶血する。この現象は溶血をおこすには抗体のほかに、正常血清中に含まれている他の因子が必要であることを示しており、その溶血に必要な因子を補体と名づけられた。補体はC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8 ,C9のタンパク質9成分から成っている。また、補体の各成分は細胞の破壊作用のほかに種々の炎症の媒介や病原体の貪食促進作用など生体の防御に重要な役割を果していることが明らかにされつつある。補体の活性化は抗原-抗体の複合物によって引きおこされる古典経路と、その他の種々の物質によって活性化される第二経路がある。

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