◆貝食中毒 [Shellfish food poisoning]
近年、世界各地の沿岸海域で貝類の摂食による中毒がおきて問題になっている。この中毒は海域の環境変化で異常に増殖した有毒植物プランクトン(有毒微細藻)である渦鞭毛藻類、珪藻類あるいは藍藻(藍菌)類を貝類が捕食し、それをヒトが摂食することでおきる。わが国では貝毒をもつホタテガイによる食中毒が多いが、ときには毒化したアワビ、イガイ、カキなどによることもある。その原因は上記のような有毒微細藻がもっている種々の貝毒である。現在、世界的に知られている貝毒として、数種の渦鞭毛藻や藍藻がもっている麻痺性貝毒、数種の渦鞭毛藻がもっている下痢性貝毒と神経性貝毒、珪藻の1種がもっている記憶喪失性貝毒がある。これらの貝毒をもつ微細藻はしばしば赤潮の発生原因にもなるが、赤潮が発生していない海域でも異常増殖して、貝類を毒化させることが知られている。
貝毒の検出法や化学構造の研究は進展し、現在、有毒微細藻の生態・生理やその毒化のメカニズムなどが明らかにされつつある。貝中毒の防止対策として、早期に貝毒を検出して、有毒貝類を除去または養殖貝類の出荷停止処置がとられている。
渦鞭毛藻類
貝毒
麻痺性貝毒原因微細藻
下痢性貝毒原因微細藻
神経性貝毒原因微細藻
記憶喪失性貝毒原因微細藻
珪藻類
藍藻
藍菌
赤潮