◆休眠胞子 [Resting spore]

 真菌の生殖細胞である胞子はその発芽にとって、環境が適切な温度や湿度であっても、直ちに発芽せず発芽能力を保ったまま、生物的な活動を見かけ上は停止している胞子をいう。休眠胞子は母細胞の分裂にともなう場合や、母細胞の外に新しい細胞壁をつくって生じる場合もある。接合子が厚い細胞壁をつくって、耐久型になった場合には休眠接合子(hypnozygote)または接合胞子(zygospore)とよばれる。卵菌類の卵胞子や接合菌類の接合子は有性的につくられた休眠胞子、フサリウムの厚膜胞子は無性的につくられる休眠胞子である。休眠胞子は外膜が厚く強固で、乾燥、高低温などの過酷な条件でも耐性である。その胞子中には類脂質やグリコーゲンなどの貯蔵物質が多い。

関連 真菌
関連 細胞壁
関連 卵菌類
関連 接合菌類
関連 厚膜胞子