◆魚類のアクロモバクター症菌 [Achromobacter sp.]

 アクロモバクター症という病名は原因菌(属)が国際的な細菌鑑別・分類書(1974年)では削除されているが、ここでは従来の病名を挙げる。この細菌性魚病はイシダイに年齢には関係なく、また、季節を問わず発生するが、一度発生すると長期間流行して被害が大きくなるので無視できない。
症状は体表が"擦(す)れ"のような状態になり、病魚はかなりの量の粘液を分泌し、体の側面や腹部に出血斑がみられる。また、眼球が白濁する魚も多い。内臓では脾臓や腎臓が腫れて大きくなり、胃や腸に水様物が充満している場合が多い。
原因菌は当初、アクロモバクター属の1種とされていたが、上記の細菌鑑別・分類書では、この属はアルカリゲネス属に統一され、アクロモバクター属は記載されていない。したがって、この原因菌がアルカリゲネス属に分類されるのが適切かどうかは今後の検討にかかっている。この細菌はグラム陰性、好気性の桿菌(0.5-1.0×0.5-2.6μm)である。色素は産生せず運動しない。ただし、アルカリゲネス属の細菌は細胞の周囲に鞭毛をもって運動する。発育温度は26-27℃が最適である。治療にはテトラサイクリン系やチアムフェニコール(クロラムフェニコールの誘導体)などの抗生物質が有効である。

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