◆魚類のグルゲア症原虫 [Glugea plecoglossi,G.anomala]

 グルゲア症は1964年に初めて鹿児島県の魚類養殖場で発生して以来、しばしば西日本のアユの種苗施設や養殖場、ときには河川のアユやイトヨ、イバラトミヨにも発生している。死亡率は低いがアユの商品価値がなくなるから問題にされている。
症状は高温期に感染すると腹壁、腹腔、臓器に多数の原虫の胞子嚢(シスト)ができ、魚は食欲や活力が衰えてやがて衰弱死する。また、このシストが壊れると部分的に肉芽種をつくこともある。
原因となるグルゲア原虫は微胞子虫類のアパンスポロブラスト亜目の1属で、標記の前者の原虫がアユに、後者の原虫がイトヨその他に寄生するが、胞子は魚の口から感染する。消化管へ入った胞子は魚の免疫細胞(マクロファージ)へ取りこまれるが、マクロファージの働きがなくなり、グルゲアはその中で増殖する。やがてマクロファージが大きくなり、増殖した原虫との塊になって諸器官へ移動して、数mmの大きさの白色の球状体(グルゲアシスト)になる。その中に無数の長楕円形の胞子(5-6μm)がつくられ、さらに、その胞子による自己感染がおこる。
この魚病の的確な予防・治療法はまだない。抗生物質のフマギリン(ポリエン抗生物質)が実験的には有効であるが、副作用などが不明で水産薬として認められていない。しかし最近、アユを水温28-29℃で処理することで発病が抑えられるといわれている。

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