◆魚類の側弯症粘液胞子虫 [Myxobolus buri,M.spinacurvatura]

 粘液胞子虫性の側弯症は1967年頃から知られ、おもに養殖ブリの脳へ原虫ミキソボルスが寄生して、延髄に障害をおこし、脊髄骨を弯曲させる原虫病である。標記の前者の原虫はブリのほかムツ、ホウボウ、キタマクラなど、また、後者の原虫はボラの脳室に認められている。しかし、現在は全国的にこの病気の発生は少なくなっているといわれる。症状は養殖の初年の初秋にミキソボラスのシスト(胞子嚢)が中脳室に現れはじめ、晩秋には第4脳室に現れて脊柱が片側へ弯曲し、さらに上下にも弯曲するのが特徴である。このような魚は次第に食欲不振になってやせる。
原因となる原虫はミクソゾア類の粘液胞子虫類に属し、球状のシスト(長さ0.5mm)の中に、両凸レンズ状の円形胞子(径約10μm) をつくる。今のところその生活環が明らかではなく予防・治療法もない。
なお、ミキソボラス属の他種の粘液胞子虫としては、コイの鰓(えら)や筋肉に寄生する原虫(Myxobolus koi,M.toyamai,M.artus)があり、サケ科魚類にも"旋回病"の原虫(M.cerebralis)が知られている。

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