◆魚類の低水温性滑走細菌症菌 [Cytophaga sp.]
  冷水病菌 [Cytophaga psychrophila]

 低水温性滑走細菌症は日本で10-11月の水温下降期と3-4月の上昇期におもに養殖ウナギに発生する魚病で、激しい鬱血(うっ血)や出血、癒着、棍棒化または壊死(えし)がみられ、症状からは魚類の細菌性鰓(えら)病に似ている。また、この魚病は秋より春に多く発生するから"春鰓病"ともよばれている。
原因細菌は水中に常在する条件性病原菌と考えられるグラム陰性で、黄色色素(カロテノイド)をもつ長桿菌(0.5×2-5μm)で、屈曲・滑走運動をし、キチンを分解する。これらの性状からカラムナリス病菌と同じサイトファーガ属の1種されている。
一方、アメリカでサケ科魚類の病気として知られている冷水病は従来、日本には存在しない魚病の1種とされていたが、ごく最近、東北地方そのほかの地域でアユに冷水病が発生し、そのアユから病原菌としてサイトファーガ・シクロフィラ(Cytophaga psychrophila)が分離された。この細菌はグラム陰性の黄色色素(カロテノイド)をもつ長桿菌で、その発育温度が4-23℃で、25℃では発育しないことが特徴である。しかし、キチンやその他の多糖を分解しないことから、現在はフレキシバクター属に分類されるものと考えられている。

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