◆魚類のプレイストホラ症原虫 [Pleistophora (Heterosporis) anguillarum]
古くから養殖ウナギの筋肉が融解して、体表面が陥没する病気を"べこ病"とよばれていた。現在はその病原体が原虫プレイストホラ属の1種であることが判ったので、病名もプレイストホラ症とされている(ブリの"べこ病"とは原因原虫が異なる)。この原虫病は養殖1年と2年目のウナギが冒されることが多い。一般的には発生頻度や死亡率は低く問題にされることはまれであるが、ときには高率に感染することもあって、病気にかかった魚は外観が醜悪で食品価値は全くなく、加温飼育されたウナギではこの原虫の発育が増加するので注意が必要である。
原因となる原虫は微胞子虫類のアパンスポロブラスト類(亜目)に属し、筋肉に寄生することが特徴である。原虫の栄養型は筋繊維の中でつくられ、さらに、薄い膜に囲まれた球形ないし卵形(径30-200μm)のシストへ変わる。胞子には大型(9×5μm)と小型(5×3μm)があり、長い極管とよばれる管(400μm)をもっている。この原虫病の予防・治療法はない。