◆抗酸性菌[Acid-fast bacilli]

 グラム陽性で、芽胞、莢膜、鞭毛を持たない細長い細菌で、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)に属する細菌をいう。 大体1.0〜10×0.2〜0.6μmの大きさで、やや湾曲、あるいは真っ直ぐの細胞内寄生性桿菌である。細胞壁に多量のワックス成分を含んでいるので通常の色素に染まりにくく、特別に加温しながら染色するチール・ネルゼン染色を行うが、一旦染色されると酸性やアルカリの脱色液等でも脱色されにくいので、抗酸性菌(Acid-fast bacillus)と呼ばれる。抗酸菌の中では結核菌が代表的な菌種で、それ以外にも非結核性抗酸菌、ハンセン病の病原体であるらい菌もこのグループに属する。らい菌以外は人工培地での培養が可能である。 抗酸性菌は、人工培地上での増殖の速度により、結核菌と同様に発育の遅い遅発育菌と、発育の早い速発育菌に大別されるが、一般には遅発育菌の方がヒトへの病原性は強い傾向がある。
関連 細菌
関連 ハンセン病
関連 破傷風菌

曲しているかまっすぐな細長い細胞である。抗酸性菌は分類上はマイコバクテリウム科のマイコバクテリウム属がほとんどであるが、そのほかにノカルジア属の一部にもある。大きさは1.0-10 x 0.2-0.6μmで、細胞内寄生性細菌である。細胞壁には特有の脂肪酸(ミコール酸など)を含んでいるので、色素にきわめて染まりにくく、特別に加温して染色するチール・ネルゼン法で染色する。しかし、一旦染色すると酸性の脱色液や有機溶媒では脱色されないので、抗酸性菌とよばれる。そのほか消毒剤にも抵抗性が強い。
マイコバクテリウム属の細菌の中で、代表的な抗酸性菌はヒト型結核菌(M. tuberuculosis)、結核の予防接種に用いられるBCGの元株でもあるウシ型結核菌(M.bovis)、トリ結核菌(M.avium)などであるが、そのほかに非定型抗酸性菌(M.kansasii)や癩(らい)病(ハンセン病)の原因になる癩菌(M.leprae)もある。また、抗結核剤に抵抗性があるとされるトリ型結核菌の細胞内複合体はエイズ患者の肺疾患で高頻度に検出される。癩菌以外は人工培地で培養ができ、人工培地での増殖速度によって、結核菌のように発育が遅い細菌と早い細菌があるが、ヒトへの病原性は強い傾向がある。なお、魚類のマイコバクテリウム症菌も抗酸性菌のグループである。

関連 細菌
関連 グラム陽性菌
関連 偏性好気性菌
関連 芽胞
関連 莢膜
関連 鞭毛
関連 細胞壁
関連 消毒剤
関連 ヒト型結核菌
関連 BCG
関連 ウシ型結核菌
関連 トリ結核菌
関連 癩(らい)病(ハンセン病)
関連 癩菌
関連 エイズ
関連 病原性
関連 魚類のマイコバクテリウム症菌