◆コイの春ウイルス血症ウイルス [Spring viremia virus of carp (SVVC)]
春ウイルス血症はコイの"春ウイルス病"ともよばれ、ヨーロッパのコイだけにみられる病気である。急性で死亡率が高く、ヨーロッパでは養殖コイの最も重要な病気の一つである。春の水温が13-20℃の頃に最も多く発生し、20℃を超えると治まる。感染源はメスの親魚も疑われ、病魚からは鰓(えら)を経て若年魚が多く感染する。また、寄生虫やヒルが媒介する可能性もあるといわれている。その症状は眼球が飛びだし、強い貧血、内臓や筋肉の出血、腸炎などをおこして腹部が膨張する。
原因ウイルスはラブドウイルス科に属し、大きさは70×180nmである。20-22℃で最もよく増殖するが、45℃とpH3では失活する。血清学的にサケ科魚類の伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)や出血性敗血症ウイルス(HSV)とは違っている。治療法は抗生物質(クロラムフェニコール)やフラン剤(フラゾリドン)などが有効であるが、予防法としてワクチンが研究されつつある。
ラブドウイルス
サケ科魚類の伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)
出血性敗血症ウイルス(HSV)
抗生物質
クロラムフェニコール
フラン剤
ワクチン