◆抗原-抗体反応 [Antigen-antibody reaction]
生体の内外で抗原やハプテンとそれらの特異的な抗体とが結合して免疫複合体をつくる反応と、それにともなう二次的な各種の血清反応を抗原-抗体反応という。前者の例として、不活化した病原体またはその毒素を動物へ接種すると、その病原体に対する特異的な抗体が血清中にできる。したがって、再度同じ病原体が侵入しても生体内で抗原-抗体反応がおきて、毒性が中和されて発病しない。後者の例としては、異種の赤血球抗原とその抗体(溶血素)と補体が結合して溶血をおこす補体結合反応(免疫溶血)がある。
このような抗原-抗体反応は試験管内(生体外)では抗血清、精製された抗体とそれらの抗原(可溶溶液または粒状浮遊液)を反応させて観察する。これには凝集反応、沈降反応、中和反応などがある。
抗原-抗体反応を具体的に観察するには、試験管やスライドガラスを用いて抗原と抗体を混合して、結合した大型の粒子を観察する凝集法、寒天やアガロースゲルの薄層上に抗原と抗体をおき、両者が拡散によって結合した複合体の沈降線を観察する沈降拡散法、試験管内でウイルスの抗原とその抗体を混合させ、ウイルスの感染力や毒性がなくなることを調べる中和試験などがある。
抗原-抗体反応はまず、抗原にある活性部位(抗原決定基)と抗体にある抗原結合部が静電力、ファンデルワールス力、水素結合などによって短時間内に特異的に結合する(鍵と鍵穴の関係)。次いで、この結合物どうしがさらに結合して、肉眼的あるいは顕微鏡的に観察できる上記の各反応がおきると考えられる。したがって、抗原-抗体反応に伴って毒素や酵素の活性が中和(消失)、溶菌、溶血、殺菌、感染性の消失などがみられる。そのほか複合体には補体との結合性や白血球による貪食活性の増進なども現れる。
抗原
ハプテン
抗体
毒素
溶血
抗血清
凝集反応
沈降反応
中和反応
酵素
溶菌
補体
白血球