◆マダイのイリドウイルス [Red sea bream iridovirus (RSIV)]

 この魚病は1990年の夏から秋にかけて四国で養殖されていたマダイに初めて発生し、翌年には西日本の各地のマダイ養殖場で大きな被害がでたウイルス病である。一般にマダイのウイル病の一つとされているが、その後、ブリ、カンパチ、スズキなどにも発生したので、マダイに特有のウイルス病であるとはいいがたい。感染源は外国産の種苗である可能性もあり、きわめて伝染性が強く、とくにマダイに発生し続けているので、マダイの養殖にとっては重要視されている病気である。
症状は皮膚が黒色化し褪色して、体表や鰓(えら)、囲心腔内が出血する。また、内臓が褪色し、とくに脾臓が大きく腫れることなどが特徴である。鰓や諸臓器に大型でやや円形をした細胞が多数みられ、それらの肥大細胞内にウイルス粒子が結晶状に配列している。
原因ウイルスはイリドウイルス科に属し、エンベロープ(外被)をもたない直径が200-240nmの六角形でDNAをもっている。20-25℃でよく増殖するが、pH3の酸性や有機溶媒で失活する。なお、ほかの魚類のイリドウイルスとの比較はされていない。感染源や経路が特定されていないので、今のところ有効な防除手段がない。

関連 イリドウイルス
関連 エンベロープ