◆オゾン殺菌 [Ozone sterilization,Ozonation]

 一般には空気を原料としてオゾン発生機(ozonizer)で無声放電によって、酸化力が強いオゾンガス(O3)を発生させて、空気、水、個体の表面などを殺菌(消毒)する方法である。従来は塩素殺菌を主体として、臭素やよう(沃)素などのハロゲン系殺菌剤が一般に広く用いられてきたが、特有の臭気や有機ハロゲン化合物であるトリハロメタン(trihalomethane)の発癌性などが問題となって以来、欧米やわが国ではオゾン殺菌が普及してきた(ヨーロッパの一部の国では早くから採用された)。オゾンは製造コストが若干高いこと、水に対する溶解度が低いこと、高濃度では有機物や生物への影響があることなどの欠点はあるが、空気が原料であることから随所で得られること、酸化力はふっ(弗)素に次いで強く(塩素の数倍)、細菌、真菌、ウイルスなど広範囲の微生物に殺菌または不活化効果があり、脱色、脱臭、浄化作用などを兼ねていることなどの利点がある。一般にオゾンは食品工場や厨房などの室内空気、用水(飲料水、飼育水)や廃水、野菜、果実、穀類など植物性食品の殺菌に効果がある。殺菌または不活化効果は一般細菌やウイルスに対して最も強いが、塩素殺菌と同様に芽胞形成細菌にはより高濃度で長時間の処理が必要である。また、空気を原料にする場合はオゾンの発生量が湿度に影響する(湿度が低いほど発生量が多い)。オゾンの殺菌作用はオゾン(O3)が分解されて生じる原子状の酸素(O)の酸化作用によって直接的に微生物を殺滅することである。その効果は水温、pHあるいはオゾンが消費される溶存有機物や浮遊物の量などによって左右される。このような環境要因が考慮されたオゾン殺菌処理を行うことによって、塩素と同等あるいはそれ以上の効果が期待されるが、高濃度ではヒトや動物へ影響するので、現在、空気中でのオゾンの環境基準値は0.1ppmとされている。

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