◆藍藻
[Blue-green algae,Cyanobacteria,Cyanophyceae]
光合成を営む原核生物で、藍藻門、藍藻綱を構成する。世界で約7,500種が知られ、原核細胞であることから広い意味で細菌に類似し、藍色細菌(藍菌: Cyanobacteria)とよばれるようになった。葉緑素クロロフィル aをもち、酸素発生型の光合成を行うので、一般植物の原形と考えられるが、細胞内には真核生物の細胞にみられる核、葉緑体、ミトコンドリアが存在せず、細胞の中央部に繊維状のDNAが存在し、その周りにはクロロフィル aを含む一つのチラコイド膜が散在する。チラコイド膜にはフィコビリゾーム(フィコビリンを含む)が並んでいる。ある種の藍藻では細胞質にガス胞が充満する。細胞壁は多重構造で、外層はペクチンとムコ多糖で、内層はグラム陰性菌の細胞壁と同様にリポタンパク質で構成され、ムラミン酸(一般細菌と同様)などが含まれている。さらに、細胞壁の外側は鞘で覆われている。鞭毛をもたないが、多糖質を分泌して運動するものもある。
広く、淡水、汽水、海水に生息し、中には陸上では土壌や樹皮状、温泉などに生息する種もある。細胞は無性生殖で増殖し、単独で生活しているものや連結して群体や糸状体になるものもある。藍藻はほかの動植物の細胞へ入りこみ、宿主へ光合成産物を提供して共生関係にある場合もある。したがって、高等植物の葉緑体の起源が藍藻の祖先の共生にあるという説もある。わが国ではスイゼンジノリやハッサイ(髪菜)と称して食用にしている地方もある。一方、アナベナなど麻痺性貝毒の原因となる数種の藍藻、"緑潮"や"青粉"のように水質の異常現象の原因になる有害な藍藻もある。
麻痺性貝毒原因藍藻
環境汚染原因微細藻
原核生物
細菌
葉緑素
真核生物
フィコビリン
細胞壁
グラム陰性菌
リポタンパク質
ムラミン酸
緑潮
青粉