◆細菌毒素 [Bacterial toxin(s)]
病原細菌がもっている病原因子の一つで、細菌の細胞の表面にある毒性物質(細胞構成体)を菌体内毒素(intracellular toxin,endotoxin)という。一方、細菌が宿主へ感染して、その体内で増殖した場合には種々の組織や体液へでて、細菌を培養した場合は培地中へだされる毒性物質は菌体外毒素(extracellular toxin,exotoxin)という。
いずれも分子量が大きい高分子物質であるが、一般に内毒素はグラム陰性菌に多く、リポ多糖、糖タンパク質、糖脂質などの複合体で熱に強い(耐熱性)。これに対して、外毒素は一般にグラム陽性菌や陰性菌が産生し、単一タンパク質または糖タンパク質などの複合体で、毒性が内毒素に比べて強く、熱には不安定な場合が多い。したがって、外毒素は熱やホルマリンで不活化されやすく、その無毒化されたトキソイドを動物へ接種した場合は免疫原性が高い。しかし、細菌やその産生条件によっては、いくつかの点で内毒素と外毒素をはっきり分けることが困難な場合もある。なお、外毒素は特異的な作用に基づいて、神経毒素、壊死毒素、溶血毒素、腸管毒素などに分けられている。
細菌
グラム陰性菌
リポ多糖
糖タンパク質
糖脂質
グラム陽性菌 ?単一タンパク質
トキソイド
神経毒素
壊死毒素
溶血毒素
腸管毒素