◆サケ科魚類の赤血球封入体症候群ウイルス
   [Erythrocytic inclusion body syndrome viruses (EIBSV) of salmonids]

 赤血球封入体症候群は最初、アメリカ、ワシントン州でマスノスケに発生(1982年)し、とくにコロンビア川の流域のマスノスケとギンザケに大きな被害がでた。日本でも海面で養殖されていたギンザケが相当な被害をうけ(1986年)、その後、宮城、岩手、静岡の各県でも発生した。症状は鰓(えら)や腎臓などが褪色したり、肝臓が黄色に変色して黄疸になる。心臓から出血したり胃が膨張することもある。また、ときには冷水病を併発して表皮が剥がれ尾部がなくなることもある。このウイルスは幼若な赤血球中で増殖するので成長期の魚ほど症状が重い。赤血球の中に原因ウイルスの封入体ができるのでこの病名がつけられている。
原因ウイルスはトガウイルスに類似したRNAウイルスで、大きさは直径約77nmで、エンベロープとよばれる外被をもっているが、まだ分類が確定していない。低水温の淡水や海水中では比較的安定である。感染した魚でも水温が16℃以上では回復して、このウイルスに対する免疫ができるようになるといわれている。このウイルス病を防除するには種卵についての徹底的なウイルスの検出と養殖施設や用水の消毒が不可欠である。

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