◆植物病原菌 [Plant pathogenic fungi and bacteria]

 植物に寄生して生育(寄生菌)し、感染して発病(殺生菌)させる真菌や細菌をいう。真菌ではそのほとんどが植物の病原菌となるのでその種類はきわめて多い。中でもムギ類、マメ類、果樹類(ナシ)、樹木類(マツ)に被害をもたらす担子菌類の銹(さび)病菌は世界で約5,000種、わが国では約870種も知られている。また、多くの植物体の表面が粉状になる子嚢菌類の1種うどんこ病菌には7属の病原かびがあり、野菜類や果樹類に病気をおこす不完全菌類の黒かび病菌(Aspergillus niger)なども古くから知られている。わが国の農業で最も重要なイネの真菌病として、いもち病菌(Pyricularia oryzae)や紋枯病菌(Rhizoctonia solani)がある。
一方、多くの植物の病原細菌も知れている。シュードモナス属、キサントモナス属、エルビニア属、アグロバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ストレプトマイセス属、スピロプラスマ属のほかマイコプラスマ様細菌もある。とくにわが国で問題となるイネの細菌病には褐条病菌(Ps.syringae)、籾(もみ)枯病菌(Ps.glumae)、葉鞘褐変病菌(Ps.marginalis)およに白葉枯病菌(Xanthomonas campestris pv.orizae)がある。中でも白葉枯菌は最も重要な病原細菌で、東南アジア各国でも多発している。

関連 真菌
関連 細菌
関連 担子菌類
関連 子嚢菌類
関連 不完全菌類
関連 シュードモナス属
関連 マイコプラスマ