◆髄膜炎菌[Neisseria meningitidis]
りん菌(Neisseria gonorrhoeae)と同じナイセリア属に分類されるグラム陰性の双球菌で、腎臓を二つ並べたような配列をしている。 髄膜炎は、脳の軟膜、クモ膜、クモ膜下腔の感染で、その原因微生物により細菌性と非細菌性に分けられる。
正常な髄液は無色透明であるが、一般的に、細菌性の化膿性髄膜炎の場合には髄液が混濁しており、非細菌性(ウイルスが原因)では透明に近い。髄膜炎菌による髄膜炎患者の髄液をグラム染色すると、好中球の細胞質内に貪食された双球菌として観察される。培養には血液を加えた血液寒天培地やチョコレート寒天培地などを使う。
基本的には好気性菌で、分離当初は5〜7%の炭酸ガスと、湿度約70%の存在で発育が増殖されるので、ローソク培養法(candle jar method)や炭酸ガス培養法を用いる。この菌はヒトに寄生性が強いが、外界での生活力は非常に弱いうえに自己融解性があるために容易に死滅する。患者や保菌者からの飛沫感染が多く、感染すると発熱、悪寒、関節痛、発疹などの敗血症の症状を示し、特に髄膜が激しく侵される。