◆水生哺乳類のデルマトフィルス症菌 [Dermatophilus congolensis]

 デルマトフィルス症は哺乳類全般の病気で、一般的には家畜などの草食動物がかかるが、水生動物ではとくにアシカやオットセイなども感染して、全身の皮膚に結節ができる皮膚病の1種である。原因菌が以前にストレプトスリックス属とされていたので、皮膚ストレプトトリックス症とよばれていた。
現在、この病原菌は多くの胞子嚢をもつ特殊な細菌に分類され、グラム陽性、好気または通性嫌気性の分枝した糸状細菌である。その胞子は鞭毛で運動する。炭酸ガスを含む空気中で、37℃以下でよく発育して、その集落は白色から黄色ないし橙色になる。また、ヒツジの血液を溶かす(溶血)が、ウマの血液は溶かさない。多くの細菌に効く抗生物質で阻害されるが、抗真菌(かび)性抗生物質は効かない。

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