◆タバコモザイクウイルス [Tabaco mozaic virus: TMV]

 植物ウイルスの代表的なウイルスで、このウイルスを含めて、オオバコ、ラン、マメ、トマト、キュウリ、アブラナなど多数のモザイクウイルスをタバモウイルス群(Tabamovirus)とよばれている。タバコモザイクウイルスは1892年にD.イワノウスキー(ロシア)によって、細菌濾過器を通過する微小な病原体としてみいだされ、人類がウイルスの実体を認めた最初のウイルスである。その後、W.M.スタンレー(アメリカ)がこのウイルスの結晶化に成功して以来、多くのウイルスの研究が発展した。このウイルスは遺伝子である核酸として、らせん状のRNAをもち、その外側にタンパク質から成る外被(カプシド)がある棒状のウイルスである。微生物学、生化学、電子顕微鏡技術などの進歩に伴って、このウイルスは核タンパク質であること、RNA部分に感染性があること、RNAとタンパク質部分から完全なウイルス粒子(ビリオン)が再構成されることなどが、他のウイルスの研究に先駆けて明らかにされた。

関連 ウイルス
関連 核酸
関連 タンパク質
関連 カプシド