◆渦鞭毛藻類 [Dinoflagellate,Dinophyceae]

 有色藻門の中に属し、およそ2,000種類からなる単細胞性藻類の1群。多くの場合は2本の鞭毛をもち、渦を巻くように細胞を回転させながら泳ぐことから、この名前がつけられた。外見的な特徴として細胞を一周する横溝とそれと直行する縦溝をもち、それぞれの横溝には鞭毛が走る。細胞の外側が複数の幾何学的な形の鎧板に覆われる種とそうではない種とがあり、前者ではその鎧板の形や配列が分類上の基準となる。
 約半数の種が葉緑体をもち光合成を行うが、残りは餌を捕食して栄養を得ている。このことから、この生物を藻類すなわち植物として扱わず、動物に分類する意見もある。実際に近年の分子生物学的研究によると、渦鞭毛藻は他の植物、藻類とは全く違う進化を遂げており、むしろゾウリムシなどの繊毛虫類と近縁であるとされている。捕食生活を営む"動物性"の渦鞭毛藻は自らの細胞内に他の微細藻を共生させ光合成を行わせるという、植物のような種も存在する。渦鞭毛藻のほとんどの種は浮遊生活を営むが、自らが他の生物に共生や寄生する例も多い。サンゴやシャコガイなどに寄生していることで有名なゾーザンテラは渦鞭毛藻のシンビオジニウムに属している。渦鞭毛藻には有毒・有害種が多く存在し、貝毒や赤潮の原因となることが多いので、経済上や保健衛生上でも重要な生物群である。

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