◆ギムノジニウム属渦鞭毛藻 [Dinoflagellate,Gymnodinium catenatum]

 麻痺性貝毒の原因となる殻をもたない(無殻)渦鞭毛藻*の1種である。細胞は楕円体に近く、細胞長23-65μm、細胞幅27-43μmで、長い連鎖群体をつくることが特徴である。この渦鞭毛藻は1940年代からアメリカやアルゼンチンなどで出現していたが、当時は毒性が検討されず1979年に西ヨーロッパ諸国で  大量発生した際、100人以上が中毒する事件がおこって注目を集めるようになった。 その後、毒産生は1986年にオーストラリアで認められ、標記のギムノジニウム カテナツムはわが国でも1987年に山口県仙崎湾で貝類の毒化をひきおこして問題になった。現在ではこの藻種が西日本各地に存在することが明らかにされつつある。また、最近ではフィリピンなどの熱帯域にも分布していることが認められ、比較的栄養に富んだ内湾域に出現する。その毒成分は毒性が弱いものがほとんどであるが、これらの成分は弱酸性で強毒な成分に変化する。したがって、調理の過程や胃液中では毒性が強まる危険があるから注意を要する。

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