◆プロロセントラム属渦鞭毛藻 [Dinoflagellate,Prorocentrum lima]

 下痢性貝毒の原因となる渦鞭毛藻*の1種で、海底の砂地や海藻に付着して増殖する。この種は熱帯域で高い頻度で出現し、シガテラ毒*(ciguatoxin: CTX,maitotoxin)をもつ魚の分布と重なることから、その原因ではないかと疑われていたが、その後、培養細胞からオカダ酸(okadaic acid: OA)が検出され、下痢性貝毒をつくる微細藻の一員に加わった。細胞はほぼ偏平な卵形で、細胞は長さ30-40μm、幅26-30μmである。
最近、この藻種はスペインやカナダなどの温帯や寒帯域にも分布することが明らかにされつつある。わが国では沖縄を中心に生息しているとされていたが、ごく最近、東北地方とくに岩手県の太平洋沿岸でも出現したことがある。どの場合もオカダ酸を産生することが認められている。また、この藻種は付着性であるから、貝類の毒化との関係が明らかにされてはいなかったが、給餌実験で貝類が毒化することが判り、スペインやカナダでもこの渦鞭毛藻による貝毒*が発生する可能性が検討されている。

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