第117話
 パラドックス再び
 

 
「方針」
どんなことでも、天下りに信用せず、一度は疑ってかかり、自分でよく考えてから判断しましょう。
 
 
本 文 目 次
 7.九半十二丁
 
著者 坂田 明治
 

 
 
第117話 パラドックス再び
 
1.どうでもいい話
 セキュリティーソフトの会社から、「サポートの切れた古いOS対応のソフトのサポートを打ち切る。」との警告を受けた。しぶしぶ、新しいパソコンに買い換えたけれども、とにかく使いにくい。古いソフトがインストールできなかったり、動かなかったりして、理科好き子供の広場の絵と式がまともに作れない。解像度が高いせいもあって、位置ずれだの、丁度いい大きさでの切り出しができない。大体、解像度を下げるとガッタガタで見られたもんじゃなく、推奨解像度にして倍率で調整するってなんだよ。
 
 こんなときは、ドブガモでも見に行こう。ドブガモというのは、写真のやつらだ。
 
 
 こいつら、カルガモともいうが、以前は、よくドブにいた。それでドブガモというのだが、近頃のドブはがしてあって、ドブに来なくてつまらんな。まあ、ともかく、調整池の方にはよく来ているから行こう。
 
 
 冬が近づいてくると、ピッピガモ(笛を吹いているような鳴き声がするからこういう)こと、コガモが見られるようになる。
 
 
 この写真を見せると、「なんだこのエロオスガモは。女三人連れて遊んでいて、生意気だ。」(注:メス三羽連れて遊んでいて、と正しい日本語を使いましょう。また、カモにひがむのはやめましょう。)と言ってる奴がいた。ちなみに、写真の、一番右にいるのがオスで、他はメス
 
 というわけで、今回は、パラドックスの話にしよう(何の脈絡があるんだ)。図や式の表示が以前と違っているのは、パソコンを買い換えさせたやつらが原因で、理科好き子供の広場のせいではないぞ(こうやって他人に責任を転嫁する)。また、例によって解説は付けないので、ちゃんと自分でよく考えて間違いを正すこと。
 
 
2. 1 は 0 に等しい
 また、これですね。この手の話、何回目でしょうか。でも、しつっこくやるもんね。
 
 明らかに、無限大に 1 を加えても無限大ですね。
 
 
 よって、式(1)の両辺から無限大を引けば、
 
 
 となり、 1 は 0 に等しくなります。めでたし、めでたし。
 
 
3.やっぱり 1 は 0 に等しい
 こんなのインチキだ。と言う人がいるので、別な方法でも同じ答えになることを示しましょう。
 
 まずは、式(3)の不定積分を考えましょう。置換積分によって簡単に求まりますね。
 
 
 次のように、置換積分しましょう。
 
 
とおくと、
 
 
なので、
 
 
となります。
 
 同様にして、
 
 
とおくと、
 
 
となります。
 
 これより、
 
 
が成り立ちます。
 
 一方、式(10)が成り立つので、
 
 
これと式(9)から、
 
 
となり、 またしても、1 は 0 に等しくなりました。めでたし、めでたし。
 
 
4.すべての円の円周の長さは等しい
 2つの同心円を考えましょう。つまり、図1のOを中心として、半径OAの円と半径OBの円です。
 
 
 そうして、Oを中心として、半径OAの円を、1直線上に、滑らずに1回転ころがします。このときに、線分ACの長さは、半径OAの円の円周の長さになるでしょう。
 
 一方で、Oを中心として、半径OBの円も滑らずに1回転ころがるから、線分BDの長さは、半径OBの円の円周の長さになりますね。
 
 明らかに、四辺形ACDBは長方形だから、線分ACと線分BDの長さは等しい。
 
 これから、Oを中心として、半径OAの円の円周の長さと、Oを中心として、半径OBの円の円周の長さは等しくなります。
 
 したがって、すべての円の円周の長さは等しくなります。
 
 
5.三角形の二辺の長さの和は残る一片の長さに等しい
 三角形ABCを考えましょう。各辺の中点を、図2のように、L、M、Nとします。
 
 
 すると、中点連結定理から、式(12)が成り立ちます。
 
 
 同じことを繰り返し、図2のだんだん小さくなっていくギコギコについて、式(13)が成り立ちます。
 
 
 そして、ギコギコは線分BCに収束するので、
 
 
が成り立ちます。
 
 つまり、三角形の二辺の長さの和は残る一片の長さに等しくなります。
 
 
6.半円周の長さは直径の長さに等しい
 ABを直径、Oを中心、 r を半径とする半円Cを考えましょう。
 
 
 このとき、半円周は式(15)ですね。
 
 
 次に、図3の赤い半円のように、直径が半円Cの半分の半円を、直径上に並べます。すると、半円周の和は式(16)のようになります。
 
 
 これより、式(17)が成り立ちます。
 
 
 同様に、同じことを繰り返して、式(18)のようになります。
 
 
 ここで、ギコギコ並んだ半円は半円Cの直径に収束するので、半円周の長さは直径の長さに等しくなります。
 
 
7.九半十二丁
 昔の時代劇八九三映画(ヤクザ映画)では、賭博師が出てきて、九半十二丁という言葉を使っていました。そして、に賭ける方が有利だということです。
 
 この博打というのは、サイコロを2つ投げて、目の和が奇数になるときを目の和が偶数になるときをとするものです。
 
 それで、本当に、九半十二丁になっているかを確かめましょう。
 
 まずは、半になる場合の目の組み合わせです。
 
 
 確かに、9種類ですね。
 
 次に、丁になる場合の目の組み合わせです。
 
 
 確かに、12種類ですね。
 
 したがって、丁になる確率の方が高くなり、丁に賭けると有利です。もう気分は、博打ですってんてんになったバカ旦那です。
 
 
8.ダランベールの論法
 ダランベールは、1枚の硬貨を、続けて2回投げたときに、少なくとも1回表の出る確率を次のように計算しました。
 
 考えられる場合は、3つであり、1回目に表が出るか、2回目に表が出るか、表が全然出ないかのいずれかである。少なくとも1回表が出る場合は、1回目に表が出る場合と、2回目に表が出る場合であるから、求める確率は 2/3 である。
 
 ダランベール先生でも。。。
 
 以上、今回のパラドックスを楽しめたでしょうか。
 
 
 
2023年11月23日
著作者 坂田 明治(あきはる)
 

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