第120話
正多角形の種類
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「主な目的」
通常、正多角形といえば凸型正多角形を連想しますが、星型正5角形のように、星型正多角形が存在場合があります。これを踏まえ、正多角形の種類がどうなるかを考察します。
本 文 目 次
1.どうでもいい話
2.正多角形
3.頂点の巡り方
4.オイラーの関数
著者 坂田 明治
第120話 正多角形の種類
1.どうでもいい話
今年も、ピッピが帰ってきた。夏の間は、ピッピどころか、ドブガモもどっかへ行ってしまって、全然見られなかった。しかし、やっとピッピが帰ってきて、調整池でドブガモと群れていた。
こいつら、調整池で遊びまわっている。もう、ピッピはエクリスプ状態から抜けて、オスとメスの区別が付くようになっていた。しかし、まあ、ドブガモのオスとメスは区別が付かないけど。
それにしても、水鳥は仲がいいみたいだ。写真1はピッピとドブガモが一緒にいたが、写真4ではピッピとビロサギが一緒にいる。他にも、写真5では、ビロサギとドブガモが一緒にいる。
調整池と、その周辺ではこいつらしかいないが、川の方に行くと、マガモが遊んでいる。近づくと逃げるので、土手からしか写真が撮れない。こうなってくると、やっぱり、一眼レフのカメラと望遠レンズが欲しくなるな(貧乏で手が出ない)。
写真6ではマガモのオスとメスが写っている。こちらの土手からは遠いため、全くこっちを気にしてないような感じだ。メスの目を見ればわかる。ちなみに、この川は画面の左から右の方へ流れ、みんな上流の方を向いている。
写真7の先頭を泳いでいる奴は、三白眼で、時代劇の八九三みたいな悪党面に見える。
ところで、アヒルかアイガモを飼ったことのある奴なら知ってるけど、こいつらの瞼は白く、人間とは逆に目の下にある。そして、くちばしの方から、頭の後ろの方へ横に瞬膜が出てくる。瞬膜は、眼球と瞼の間にあって、人間のまばたきを、瞬膜でやっている。
それで、通常、寝るときの他には、瞼を閉じることはない。特に警戒してるときはそうだ。なので、写真7では、よほど安心して寝ているような感じだ。それにしても、こいつら、泳ぎながら寝ているのか。しばらく見ていると、オオバンまで泳いできて、群れに加わった。
そうそう、こんな写真も撮れた。よくもまあ、こんなでっかい魚が喉を通るもんだ。
なお、調整池や川の方へ行く途中でも、色々な鳥が見られる。写真10はチョウゲンボウのボウちゃんだ。
タカ類は電柱の一番高いところに停まるのに、ボウちゃんは電線の中央に停まる。そういう趣味なのかな。
他にも、トンビのトンちゃんがいた。
やっぱり木の一番高いところに停まっている。
2.正多角形
今回は、正多角形が何種類あるかを考えましょう。通常、正多角形というと、凸型正多角形を連想するけど、その他に、星型正多角形が存在する場合もあります。そこで、それらを含めて、正多角形(正 n 角形)は何種類あるのかを考えます。
とりあえず、正多角形がなんであるかを知らないと話にならないので、以下の4条件を満たす図形を正多角形(正 n 角形)とします。
(1) 円に内接している図形。外接円のある図形といっても同じ。
(2) n 個の頂点によって、円周が n 等分される。
(3) 頂点の1つを基点として、基点から始めて、各頂点間を m 個飛びの辺で結んでいる。
(4) 基点から辺に沿って動くと、全ての頂点を巡って基点に戻ってくる。
まずは、具体例から入ります。正1角形、正2角形は存在しないので、正3角形から見ていきましょう。 以下、正多角形は円に内接しているので、円に内接させて描きます。
明らかに、星型3角形なんてないので、正3角形はただ1種類だけですね。
次に、正4角形についてです。
図3は(3)を満たさないので、正4角形とはならず、正4角形はただ1種類だけです。
今度は、正5角形です。
正5角形は、凸型正5角形と星型正5角形の2種類あります。
引き続いて、正6角形です。
やはり、図6は(4)を満たさないので、正6角形とはならず、正6角形はただ1種類だけです。
以下、正7角形などを考えるのは、読者の宿題です。これ、紙に、テキトーに円を描いて、その上に正7角形を描いた方が簡単に確かめられます。まあ、結果からいうと、凸型正7角形と星型正7角形2種の、計3種類になります(後で出てくる)。
3.頂点の巡り方
とにかく、正多角形をちゃんと扱いましょう。
正5角形を例として考えていきます。正5角形を描くには、まず、円周を5等分します。これは、理論的な話なので、作図できるできないとは関係なく、とにかく5等分するということです。そして、5等分した点に、番号を振っていきます。基点を 0 として、順番に 0 、 1 、 2 、 3 、 4 と振ります。振る方向は、時計回りでも、反時計回りでも、どちらでもいいので、ここでは、慣習に従って、反時計回りにします。
次に、各点を線分で結び、以下の、式(1)、式(2)の頂点を巡る系列を作ります。
頂点の飛び方は一定なので、式(1)、式(2)は、以下のようになります。
さて、単なる足し算だと、微妙に疑問符の残るところが出てきます。疑問符を解消し、これらの系列にうまく意味を持たせるためにはどうしたらよいでしょうか。式(3)、式(4)をよーく見ると、 5 で割った余りを並べた系列と考えればよさそうです。そのつもりで、式(3)、式(4)を書き直してみましょう。
綺麗に表記出来ましたね。このことから、割った余りに着目するのは重要だと気づきます。そこで、 a と b の双方を n で割った余りが等しいときに、式(7)のように書き、合同式と呼びます。
読み方は、「 a は n を法として b と合同である」としています。まあ、この読み方は面倒なので、前後から n がわかっているときは、「 a 合同 b 」などと読んでいます。
合同式には、色々な性質があります。特に、以下の同値率が成り立つので、等号と同じように扱えます。ちなみに、式(8)は反射率、式(9)は対称律、式(10)は推移律と呼びます。もちろん、これらを確かめることは読者の宿題です。
また、式(11)のように、普通の整数計算と同じ計算法則が成り立ちます。当然、これを確かめるのは読者の宿題です。
さて、正多角形に戻り、式(5)、式(6)相当の式をもっと詳しく考えましょう。つまり、全て 5 で割った余りとして記載する系列で考えることです。
式(5)、式(6)は、それぞれ、基点に、 1 、 2 を足したものですが、他に、 3 、 4 を足したものも考えられます。
式(12)、式(13)の系列から図7を眺めると、正5角形の各頂点を時計回りに回っていることがわかります。正5角形では、各頂点の回り方に方向性がある訳ではないため、反時計回りでも、時計回りでも区別をする必要はありません。つまり、式(5)と式(12)は同じ凸型正5角形、式(6)と式(13)は同じ星型正5角形になります。まあ、それぞれ、式(5)、式(6)の矢印を逆にしただけなんだけどね。
これは、 1 と 4 、 2 と 3 での系列は、矢印が逆向きなので同一視されるということですね。つまり、 m と n - m とは、反時計回りと時計回りの差しかないので、図形としては全く同一になるということです。
おまけに、正7角形について書いておくと、式(14)、式(15)、式(16)の三つの系列に対応する3種類の正7角形になります。もちろん、この3本の系列の他にも3本の系列が存在しますが、それは、それぞれ式(14)、式(15)、式(16)の矢印を逆向きにしたものです。
4.オイラーの関数
前章の考察により、正 n 角形の存在は、式(17)の系列が存在するかどうかで判定出来ました。
ここで、 0 、 m 、 2 m 、・・・、(n-1) m を n で割った余りは互いに異なります。
(このことを、 0 、 m 、 2 m 、・・・、(n-1) m はmod n について互いに異なるという )
この条件は、簡単です。 m と n とが互いに素であることですね。というのは、互いに異なってないとすると、どっか同じ(mod n について)ものがあるので、その差分を取れば、 n が、 m となんかの積になって互いに素に反する。逆に互いに素でないとすれば、上の、 0 から (n-1) m の中に 0 となるもの(mod n について)が存在するからです。
以上から、正 n 角形の種類は、 n より小さく、 n と互いに素な正の整数の個数の半分となります。(矢印が反対向き、つまり、 m と n - m とは同一視するから)
この、「 n より小さく、 n と互いに素な正の整数の個数」のことをオイラーの関数と呼び、式(18)のように書きます。
オイラーの関数を使えば、正 n 角形の種類は式(19)のように簡単に書けますね。
オイラーの関数の有用性はわかったので、オイラーの関数を計算してみましょう。
まずは、n を素因数分解します。
オイラーの関数を計算するには、 n と互いに素になっていない数の個数を n から引けば求まります。そのためには、各素因数の倍数になっているものの個数を全て引けばよいでしょう。
とりあえず、 n までの p 1 の倍数の個数は式(21)となります。
そこで、各々の素因数の倍数を n から引きます。
これでは、 p 1 p 2 の倍数などは2重に引かれているので、その分を足して補います。
今度は、 p 1 p 2 p 3 の倍数などが余計に足されているので、その分を引いて補正します。
以下同様にして、最終的にオイラーの関数は式(24)のようになります。
式(24)を見れば、簡単に因数分解できることがわかります。実際に因数分解したものが式(25)です。
式(25)と式(19)とから、正凸多角形の種類が求まります。色々と試してみましょうね。
完
2024年11月20日
著作者 坂田 明治(あきはる)
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