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69. 新型インフルエンザは大流行するか
                     12-15-97

 その1.突然の質問

 12月になって「香港での新型インフルエンザ」についての質問や問い合わせが急激に増加しました。ある方は、「年末年始にかけて1歳の子供を連れて香港に家族旅行を計画しているが、子供連れの香港行きはやめた方が良いか、または行っても大丈夫ですか」と聞かれました。また別な大学生からは、「新型インフルエンザが心配で、夜も良く寝られない。ワクチンはどこに行けば入手できますか」とメールを送って来ました。その他大勢の方からメールを頂いていますが、皆さんの心配している事柄は、良く似ています。そこで、ホームページに掲載する原稿の順番を変更して、急遽「新型インフルエンザは大流行するか」というテーマの解説文を掲載します。

 その2.新トリ型インフルエンザは大流行するか. 結論から始めましょう。その前にお断わりして置きますが、以下の文は新聞やマスコミからの情報をもとにした私田口個人の考えであります。

 新型のトリからのインフルエンザは、世界的な規模で大流行するのではないかと推測しています。答えは、「イエス、YES」だと思います。それでは、「今年の冬に大流行が起こるか」と言われると、答えは多分「ノー、NO」だと思われます。それでは、「いつ大流行がおこるか」との質問となりましょう。答えは、「来年はアブナイ」かも知れません。いずれにしても、「大流行するのは間違いない」、しかし、「いつか」となると多少答えは鈍ります。

 その3.どうして今年は大流行しない?

 このような返事をある方に送りましたら、どうしてそんなに心配しないで居られるのかとの質問をさいど受けました。インフルエンザの恐ろしさについては、たぶん一般の人達よりも私は理解している積もりです。無鉄砲、闇雲に強がりを言っている積もりは有りません。

 以前に大流行したアジアカゼやホンコンカゼは、どれも中国の奥地で生まれた新型のインフルエンザウイルスが、自由貿易港の香港を出発点として世界に広まって行きました。新型のウイルスによるカゼの時は、大勢の人が感染しましたが、ある時には競争馬がヒトから感染し、競馬が中止になったこともありました。香港経由の新型ウイルスによるカゼは、大流行する可能性は充分に考えられます。

 しかし、香港からの最近の情報をまとめると、「カゼの患者から新トリ型のインフルエンザウイルスが分離された」、および「その感染者から死者が出た」という事のみで、感染がひろまり「学級閉鎖」の小中学校が数多くなったとのニュースはありません。

 うえの情報から判断すると、ヒトからヒトに新型ウイルスが感染している証拠はまだ把握されていないようです。新型ウイルスがどのようなルートでヒトに感染したのかも明確でないのです。香港に出現した新型ウイルスのヒトへの感染力は、まだそれほど強くなっていないと考えられます。

 このような状況証拠から、今年の冬には大流行は起こらないのではと考えている次第です。しかし、1年後は、どうなるか誰も判りません。

 その3.ウイルスのプロが罹るとアブナイ.

 病原微生物を職業的に扱う者は、その微生物を自由に飼い慣らす術を心得ていますから、エボラ出血熱やペスト菌などの極一部の微生物をべつにして、エイズのウイルスでも結核菌などの病原微生物を取り扱うことに少しも恐れは感じません。これには、自分だけは絶対に感染しないとの自信があるためです。しかし、この自信には多少フロクがあり、術を心得ているのみならず、病原微生物を毎日扱っていると体内に強い免疫ができ、少し位体調が悪くても感染しにくい事があります。プロであれば何でも自由に扱えるかというとそうでは有りません。例えばエボラ出血熱、ペスト菌などは、私達微生物のプロでも、一般施設での取り扱いは禁止されています。

 インフルエンザのワクチンは、ニワトリの受精卵にウイルスを注射し、数日フラン器内で保温してウイルスを殖やし、ウイルスを含む液を卵より抜き出し、その液からウイルスを精製し、その後ウイルスを殺して最終製品を作ります。ウイルスを扱う知識や技術のない一般人では、1個の受精卵にウイルスを注射するだけの事でも、自分の手や指に注射してしまう恐怖から、冷や汗がでてとても疲労コンパイする筈です。ワクチンを作っている研究所では、毎日何万何百万個の卵を取り扱いますから、術者の手さばきは、オミゴトの一言につきる程正確で素早いのです。

 ところが、新型ウイルスのワクチンを最初に作るときは話は別で、神業的な術を持っているワクチン作りの達人も、自分で取り扱うウイルスに感染する事があります。これは、新型ウイルスとそれまでのウイルスを形作っているタンパク質が、相当に違う事を意味します。ウイルスのプロが罹るようなウイルスは、タイヘンに危険で大流行する可能性があります。

 その4.予防法はないのか.

 この曖昧模糊の「17.インフルエンザはなぜ流行するか」、「18.ウイルス病は予防が大切」、「19.インフルエンザとマスク」や「21.ワクチンの効用」などを参考までにお読み下さい。

 ウイルスが体内に侵入し、いったん殖えだしてしまうと、そのウイルスを抑えてしまう薬・特効薬は原則として有りません。感染してからは、自分の体力で治すしか方法がないのです。予防に優る術はないのて、罹らないようにすることがたいせつです。

 先ず体力を弱めない、人込みをできるだけ避ける、手洗とウガイ(細菌感染を防ぐ)の励行と鼻を清潔にする(インフルエンザウイルスは鼻から感染する)などにつとめる。ストレスも心身に負担になります。マスクの使用も予防法の補助手段としてゆうこうでしょう。

 疑問や希望などありましたら、いつでもどうぞメールを送って下さい。

 お互い健康には充分に気を付けて、今年の冬を乗り切りましょう。

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