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104. 飲酒がピロリ菌H. pyloriの感染を予防?

8-16-98.

その1. 深刻なピロリ菌の感染.

 ピロリ菌Helicobacter pyloriは、大腸菌の数倍の大きさを持ちグラム陰性のらせん菌で、菌端に4本から6本の鞭毛をもち、湿度の高い微好気環境でよく発育する特徴をもっています。

 熱帯・亜熱帯の開発途上国では、10才位までに殆どの子供が感染してしまい、その感染は駆除が難しいので数十年も持続するといわれています。先進国では高齢者の感染が多く、我が国では60才以上で3人のうち1人から2人は感染を受けているといわれています。全世界での感染率は、約50%におよんでいるそうです。

 ピロリ菌は、ヒトの胃粘膜に感染すると慢性胃炎を起こし、消化性潰瘍の重要な要因となります。また、世界保健機構も認めている唯一の発癌性の細菌で、胃がんの発生と密接に関連すると考えられています。この菌に関することは、「86. ピロリ菌は胃ガンを起こす?」にも書きましたので、参照して下さい。

その2.ビールやワインが有効?.

 「多くの消化性潰瘍に関与するピロリ菌感染を飲酒が予防し、コーヒーは逆に感染を促進する」という内容の報告が、ドイツの大学の消化器専門医から英国医学雑誌に掲載されています。

 試験対象者は、15才から79才までの447名で、尿素呼気検査で21%が陽性でありました。ただし、消化性潰瘍の既往歴を持つ者、ピロリ菌に対する治療を受けたことのある者、現在抗菌治療を受けている者は対象から除外されています。

 試験対象者の一週間の飲酒量を調べたところ、全対象者の中央値は2.6オンス(約73.7グラム)であった。ところが、この値以上の飲酒をしている者は、飲酒しない者に比べピロリ菌の感染率が67%も低かった。逆に一日に3杯(全対象者の中央値)以上コーヒーを飲む者は、飲まない者に比べてピロリ菌感染率が2.5倍と高かった。

 対象者のうち、なんらかのアルコール飲料を飲んでいると答えた者は、447名のうち259名の66%でありました。最も多かった飲み物は、ビールとワインで、それぞれ48%と49%で、ウイスキーなどの蒸留酒を飲んでいる者は17%であった。ワインの方がわずかに感染予防作用が強く、ワインは強力な抗菌活性を有すると指摘しています。

その3.疑問はないか?.

 ワインに抗菌効果が証明されたとのドイツの消化器専門医の報告を読んで、私は素人ですが、いくつかの疑問を持ちました。例えば、ワインなどの飲酒がピロリ菌の感染を予防するとしても、胃内のピロリ菌を除菌できるのであろうか。小児期に感染した者が成長してコーヒーを飲み出したら感染はどうなるのであろうか。試験対象者のなかには、多分ワインとコーヒーの両方を摂取している者もいると思われるが、その場合はどのようになるのであろうか。

 立派な医学雑誌に掲載された論文ではありますが、部分的には疑問点が残るように思いました。環境ホルモンに限らず、私達が毎日摂取する飲食物は、良い意味でも悪い意味にも健康に大いに影響することだけは確かなようです。抗菌グッズなとに頼らずに、健康に過ごせる生活環境の構築に努力するよう心がけましょう。

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