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107. アデノウイルス7型の動向.

8-30-98.

その1.突然出現してきたウイルス.

 初夏の頃からアデノウイルスの7型による感染についての質問を何人かの人より頂きました。その当時、私自身が勉強をしていませんでしたので、よく解りませんでした。気になってはいましたが、この新型ウイルスを説明する機会がありませんでした。その後多少勉強しましたので、簡単な解説を試みます。

 アデノウイルスは、大きさはウイルスとしては中程度、形態は球形で、遺伝子としては二本鎖のDNAで、タンパク質の膜をかぶっています。人間を含む多くの動物に、その動物特有のアデノウイルスが存在します。酸・アルカリ、アルコールなどの有機溶媒や界面活性剤などの化学物質などには、強い抵抗性を示します。核酸を取り囲むタンパク質の膜は、ヒトのアデノウイルスだけでも、免疫学的に数十種類に分かれ、その各々に番号が付けられています。その番号がウイルスの名前になり、アデノウイルス3型とか7型と呼ばれます。

 数年前までは、アデノウイルスによる病気の内、アデノウイルスの3型によるのが4割程度と一番多く、ついで2型、1型、4型と5型が各々1割程度でありました。ところが、2年ほと前から、2型が2割超と一番多く、ついで3型が2割弱、3番目に7型が17パーセントも検出されるようになりました。これまでの病気を起こすアデノウイルス型のパターンが変化し出したのです。

 

その2.症状は重篤で死亡例も.

 アデノウイルス7型による症状は、これまで流行していた3型とも似ていますが、胃腸炎や肺炎、扁桃炎、咽頭炎、咽頭結膜炎、気管支炎などの上気道感染、下気道感染の発症率が高く、3型ではみられない関節筋肉痛や脳炎も報告されているようです。更に、7型の感染は、半数の患者で40度以上の高熱を平均10日間も持続するようです。

 流行時期は、初夏から夏にかけて多くみられ、感染年齢は4歳児までが約半数を占めます。アデノウイルスによる死亡例を調べたら、全例がアデノウイルス7型であったとの報告もあります。気管支喘息、先天性心疾患、外科手術後、脳性麻痺などの基礎疾患をもつ小児が感染した場合は、注意しなければ危険なようです。

 

その3.免疫抗体の保有者は少ない.

 今までにあまり流行しなかったウイルスですから、7型のウイルスに対して免疫になっている人は非常に少ないようです。まだはっきりとは判っていないようですが、60歳以上の人達には抗体を持っている人が全体の四分の一程度いるようです。このことから、このウイルスは40年程前には流行していたことが推測されます。しかし、実際に感染するのは、10歳未満の小児が大半を占めていますから、ほとんどの人が免疫になっていないと考えるべきでしょう。

 更に、幼稚園や小学校での感染や家族内の感染のように集団での感染率が増加してきた傾向がみえます。今後患者が集団で多発すると、入院患者の病院内での感染も考慮しなくてはならなくなりましょう。

 初夏から夏にかけて、インフルエンザ様の症状と高熱が持続する場合は、アデノウイルス7型の感染の可能性が高いようです。7型のウイルスは糞便にも排出されますので、消毒が大切になります。石鹸を付けて流水での手洗いが重要です。しかし、逆性石鹸や普通の消毒用アルコールは、あまり効果がありません。アデノウイルスに対する特効薬はありませんので、感染しないように注意する以外に、感染を予防する特別な手段はありません。感染症の情報にこれからも注意しましょう。

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