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117.サリドマイドが治療薬として承認.
11-26-98

「64.ハンセン病とサリドマイド. 9-21-97」でサリドマイドが再度医薬品として承認される可能性があることを記載しましたが、これが真実になりました。

 サリドマイドは、1960年代初めに世界中で一万例以上の先天性異常児を生みだしたことから、つわりと不眠症の優秀な治療薬でありましたが、世界中で製造と使用が禁止されてしまいました。以来30数年を経過して、再度治療薬としての使用が米国で承認されました。重度の先天性異常を誘発するとして、一度はサリドマイドの使用を禁止した米国食品医薬品局は、ハンセン病の合併症の治療薬として同薬を承認したのです。非常に珍しいケースと思われます。

 サリドマイドは、ハンセン病による結節性紅斑を伴う患者に使われることになります。結節性紅斑は、腕や大腿部に耐えがたい痛みを伴う瘤を生じ、神経や関節に炎症を引き起こします。米国内7,000例のハンセン病患者の約半数が結節性紅斑を発症しているそうです。臨床試験では、サリドマイド群は75%の反応がみられたが、アスピリン群では25%のみであったそうです。

 米国食品医薬品局は、「サリドマイドを使用する医師は厳しい規制下に置かれるが、サリドマイドによる先天性異常児を生みだすかどうかを決定するのは、最終的には患者個人である」としています。それでは、責任の一端を担う患者達はどのような指導・教育を受けるのかは、次のように説明されています。

 サリドマイドの服用中に、女性患者に対しては、信頼性の高い避妊法を二種類実施しなければならない。また、治療開始24時間以内に妊娠検査を受け、妊娠してないことを文書で証明しなければ、サリドマイドの医師からの処方を受けることができない。さらに、治療期間を通して妊娠検査が義務付けされる。男性患者に対しては、妊娠可能な女性と性交渉を行うときはコンドームが必要なことを文書と口頭で警告される。

 この度のサリドマイドの使用は、ハンセン病による結節性紅斑で耐えがたい痛みを伴う患者に限られていますが、しかし、エイズ、ガンやベーチェット症候群など、承認適応外の使用がかなり見こまれると今から予想されています。その理由は、サリドマイドは当初優秀な痛み止め薬として開発され、次いで副作用のない睡眠薬として認められ、さらに細胞障害性の強いガン細胞を壊す因子(TNF)の特異的な阻害因子であることが判明しているからです。どうして痛みを止めるのかは、現在も良く判っていません。

 エイズを引き起こすウイルスであるHIVは、増殖にTNFを必要とし、TNFの産生を阻害するサリドマイドに曝すとHIVの増殖は抑制されることがすでに報告されています。ガンも種類と進行度によっては、厳しい痛みを伴います。

 先天性異常児を生んだ悪名高きサリドマイドは、末期ガン患者の鎮痛剤として、またエイズの特効薬に今度は大変身し、多くのエイズ患者に対して明るい光となる可能性が期待されます。いずれの場合も先天性異常児が生まれることだけは避けたいものです。

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