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407. 母親の喫煙の胎児への影響. 8-17-2005.
 
国内での喫煙者数は、特に男性では全体的に以前よりは減少する傾向にあるようですが、女性の喫煙者数は減少するよりは若年者の喫煙率が高くなる傾向を示しているようです。国としての喫煙率は、先進工業国のなかで日本はまだ異常にダントツに高いようです。
妊婦の薬物の服用、アルコールの摂取、喫煙などが胎児に与える影響は色々と調べられているようです。今回は妊婦の喫煙の胎児の免疫能と染色体に対する影響を調査している報告二編の概要を紹介します。
(MT38:32,8-11,2005 & JAMA293:1212,2005)。
 
胎児の免疫能が低下
満期産分娩をした健常ボランティア女性で喫煙群60例と非喫煙群62例で、各群にアトピーとアトピーでない女性を同数含むようにした。喫煙の有無は、ニコチンの代謝差産物であるコチニンの血清濃度により確認した。コチニン濃度と総喫煙量(pack years)には強い相関が見られた。喫煙群58例と非喫煙群59例が試験を完了した。
各女性の臍帯血から細胞を分離し、一般的なアレルゲンと一緒に培養した。その結果、インターロイキン(IL)-6のアレルゲンに対する反応は、喫煙では著しい減弱化と関係するほか、新生児のインターフェロン(INF)aおよびIL-10濃度の上昇にも関連していた。
喫煙による酸化の影響を調べるため、尿中イソプロスタン濃度を分析した。喫煙女性から生まれた乳児の尿中イソプロスタン濃度は1,000pmol/mmolクレアチニンで、非喫煙女性の乳児の尿中イソプロスタン濃度は750 pmol/mmolクレアチニン有意に高かった。この結果から、喫煙女性から生まれた乳児は、酸化的損傷を受けていることが判った。
今回の結果から、母親の喫煙がアレルゲンに対する新生児の反応に悪影響を及ぼすことが確認された。妊娠中の喫煙が胎児に有害であることを示す新たな証拠として追加される。
 
胎児の染色体異常
10年以上にわたり1日に10本以上喫煙している妊婦25例と非喫煙妊婦25例から定期検査時に羊水から羊膜細胞を採取し、細胞遺伝学的検査を実施した。
その結果、染色体の構造異常の出現率に大きな差(喫煙妊婦12.1%、非喫煙妊婦3.5%)があり、程度は少し低くなるが核分裂中期の染色体の不安定性(喫煙妊婦10.5%、非喫煙妊婦8.0%)と染色体病変(喫煙妊婦15.7%、非喫煙妊婦10.1%)にも差があつた。
今回の調査研究では、自然発生的でない染色体上のバンドの損傷を4ヶ所以上の損傷と定義して、有意な損傷を示すバンドを探索した。その結果、12バンドが検出されたが、喫煙者と非喫煙者で有意な損傷を示したバンドは11q23のみが統計的に有意であった。白血病を誘発することが知られているバンド11q23は、タバコの遺伝子毒性物質に対する感受性が特に高いようである。
母親の喫煙が胎児に与える遺伝子毒性作用について調べた研究はこれまでに殆ど存在しない。それには、この類いの研究の対象者を募るのが非情に困難であることが関係している。今回染色体異常を誘発する薬剤を使用してない喫煙妊婦と非喫煙妊婦に限定して試験を行なった。アルコール、コーヒーや紅茶を飲む妊婦も除外した。最終的に各25例の妊婦を確保するために800回以上の面接が必要であった。
 
過去の研究で、母親の喫煙が新生児白血病に関連していることが示されています。さらに新生児白血病の40〜60%、小児白血病の18%、成人白血病の3〜7%においてバンド11q23の分子配列が変化していることが明らかにされています。喫煙が胎児の上皮細胞に遺伝子毒性障害を与えること、および免疫能に影響することをはじめて報告する研究です。喫煙は母親にも胎児にも障害を与える毒性物質を含むようですから、喫煙している人は喫煙の習慣を絶つ努力をしましょう。

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