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535. ヒトパピローマウイルスと発ガン. 10-25-09.
キーワード:ヒトパピローマウイルス、性感染症、発ガン、陰茎ガン、扁桃ガン
 
その1.陰茎ガンとHPV
スペインのカタラン腫瘍研究所のSilvia de Sanjose博士らは、陰茎ガンの半数に性感染症(STD)のなかで最も多いとされているヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関与していると発表した(J. Clin. Pathol. 62: 870-878, 2009)。
 
HPVは、女性では子宮頸ガン、外陰ガン、膣ガン、肛門ガンを、男性では肛門ガンと陰茎ガンを引き起こす原因となる。欧米の陰茎ガンの発症率は低く、成人男性のガン全体の1パーセント未満であるが、アフリカやアジアでは10パーセントを占めており、全世界では毎年約26,000人が新規に発症している。
 
今回の研究は、1986年〜2008年に発表された研究論文31編を調べて陰茎ガン患者のHPV感染率を検討した。総計1,466例の患者のHPV感染率は46.9%であったが、南米の40.7% から北米の56.6%まで地域差が認められた。今回の調査で最も多かったウイルスは、HPVの16型の61.5%で、次いでHPVの18型の13.2%であった。
 
de Sanjose博士は「HPVの16型と18型」をワクチンで根絶することができれば、毎年約7,000件の陰茎ガンを予防できると指摘している。
 
その2.扁桃ガンとHPV
カロリンスカ研究所のTina Dalianis教授らは、スエーデンでは扁桃ガンの患者が急増しており、1970年以降の診断数は3倍になったが、この増加はHPVの直接的に関与していると発表した(Intern. J. Cancer 125: 362-366, 2009)。
 
HPVは、疣贅(ゆうぜい、イボのこと)やコンジローマを引き起こすウイルスで、すでに100種類以上のウイルスの存在が知られている。そのうちのいくつかには、発ガン性が認められている。
 
スエーデンでの扁桃ガンは、一般的な口腔咽頭ガンである。患者が治療を始めるのは、当該疾患がある程度進行した段階になってからである。すでに咽喉のリンパ節にまで浸潤していることも少なくなく、その場合の予後は必然的に悪くなる。
 
2003年〜2007年に扁桃ガンと診断された住民をモニターした。その結果、扁桃ガン症例の増加はHPV感染が原因であることが明らかになった。120例から得られた98例の生検材料を分析した結果、83例がHPV陽性で、主としてHPVの16型によるものであった。
 
 
HPV陽性の扁桃ガンの場合、診断時の患者の年齢はHPV陰性患者と比べておよそ10歳若く、5年生存率も81%とHPV陰性患者の36%に比べて予後も良かった。
 
スエーデンでは2010年以降、10〜12歳の女児すべてに接取されるHPV新ワクチンが、口腔内のHPV感染にも有効であるか否かを確認したいとしている。
 
HPVは、陰部に感染病巣を作るウイルスであるため、性行為を介して感染が伝播する特徴があります。ここに紹介したHPVの関与する二つの話題は、性感染症として考えるとつじつまが合うような気がします。陰茎ガンと扁桃ガンのどちらが先かはコロンブスの卵のように定かでないが、陰茎にHPV陽性のガンを持つパートナーは、オーラルセックスを介して扁桃にHPV陽性ガンの原因となるのかもしれない。このへんの教育をどうするかが大切になってくるような気がする。

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