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51.デング熱.7−14−97.



その1.

デングは、熱帯および亜熱帯地方にみられるウイルスによる急性の病気です。フィリピン、シンガポール、ベトナム、ミャンマー、タイ、インドなどは、デング熱の常在地といわれています。日本では戦争中に長崎に大流行がみられ、1万人もの患者がでた事もあります。現在の日本国内には存在しない病気です。

デング熱ウイルスは、成人を含めヒトに対する病原性が強く、感染すると発熱、全身の痛み、発疹などで発病します。成人が感染したときは、死亡する例はあまりありません。しかし、常在地で乳幼児がデング熱にかかると、発熱が2日以上続き、その後全身より出血し、ショックを伴った出血性の熱病で4日から5日で30%から50%の高い死亡率を示します。この乳幼児のデング熱をデング出血熱と呼びます。

その2.

このウイルス病は、「ネッタイシマカ」と呼ばれる蚊によって、ジャングルではサルからサルに、都市部ではヒトからヒトに病気が伝染します。蚊は吸血して気温が少なくとも16度以上の土地であると10日前後すると、感染を起こすようになります。一度感染性のウイルスを保有した蚊は、蚊の一生感染源となります。やっかいな存在になります。

「ネッタイシマカ」が生息するには、年間16度以上の気温が必要で、冬のある地方ではこの蚊は生息できません。ところが、この「ネッタイシマカ」が台湾にも住み着くようになり、台湾・台北市でもデング熱の患者が発生するようになりました。

セアカゴケグモのように、交易を介して「ネッタイシマカ」が日本国内に持ち込まれる可能性と国内平均気温の上昇などが絡むと、日本国内でもデング熱の患者が出ないとも限りません。

その3.

デング熱ウイルスは、日本脳炎ウイルスとにた性質を持っています。日本脳炎は、ウイルスを殺したワクチンが出来ていますから、ワクチンを接種することで予防が可能てす。ところが、デング出血熱は、ハシカと同じように、ウイルスが体内で増殖した後におこるアレルギー反応により出血性の発疹がでるのです。このアレルギー反応は、ウイルスに対する抗体が関係するために、ワクチンを接種して免疫抗体があると病気はより激しくなります。デング出血熱は、ワクチンが出来ることが強く期待されているウイルス病の一つですが、現在は有効なワクチンが出来る可能性はあまり望めません。蚊を退治すれば良いのですが、高温多湿の熱帯地方ではそれも望めません。

ジャングルなどにいる動物と蚊のサイクルを持つウイルスの病気は、例えば、エボラ出血熱が代表ですが、本当に恐ろしいものです。病気の予防と根絶は極めて困難です。ジャングルをそのままにしておけばまだ良いのですが、経済発展をねらって森林を切り開くと、思わぬジャングルの病気が都市部に出てくる可能性が心配です。



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