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132.米陸軍女性新兵のクラミジア感染.2-18-99.

@性行為感染症とクラミジア.

 新しいエイズという病気が米国内で認められ始めた頃、エイズは同性愛者の間に流行っている奇病だと言う人々がいました。日本国内にも男女を問わず同性愛者と呼ばれる人が存在するようですが、しかし、一般的にはその実態も存在もあまり知られていないと思います。10年ほど前になりますが、米国西海岸に住んでいる友人を久しぶりに訪ねた際、「どうしてエイズが米国西海岸の都市に多いのか」が話題になったことがありました。

米国でも性に関することを人前で口にする人は多くないのかも知れませんが、米国人の性に関するオオラカ(?)な意識にまず驚き、更に米人の同性愛者の凄まじいバイタリティーとその実態の一部を聞かされ「ブッタマゲタ」ことがあります。想像を絶するものでした。

 エイズを含めた一部の病気を性行為感染症(英語ではSexually transmitted diseasesと書きます)または性感染症と分類することがあります。性行為感染症 Sexually transmitted diseasesとは、読んで字のごとくで、性行為を介して罹る感染症です。クラミジアと呼ばれる微生物による性行為感染症が若い人達を中心に世界的に広がりつつあります。クラミジアについては、「58.微生物にはどんな種類がありますか」に簡単な説明がありますので、参考にして下さい。

 

A新兵のクラミジア感染.

 米国東部の有名私立大学であるジョンスホプキンス大学感染症部門のクィン博士Quinn, T.C.は、陸軍訓練センターに入ってきた女性新兵の1万3,200名を対象としてクラミジアの感染状況を調べました。その結果判明したことは、新兵全体の9.2%とがクラミジアに感染しているて、最も感染率の高かった年齢は17歳の新兵群で12.2%であった。このことは17−25歳の女性の約10人に1人がクラミジアに感染しているという、驚くべき成績でした。感染率は、年齢による違いだけでなく、出身州によっても大きな違いがあった。その地域差は、当該地区の健康管理体制の差によるらしい。

 感染を高めている主なリスク要因は、1)アフリカ系米国人である、2)性行為が活発な人である、3)コンドームを使用しないことがある、4)既に性行為感染症に罹ったことがある、などであった。

 クラミジアの検査法が改良されて、より簡単で正確に結果が出せるようになれば、健康管理の専門家は無症状の感染者を発見でき、治療が可能になり、クラミジア感染症の結果である「骨盤内炎症性疾患、卵管の瘢痕化、不妊、子宮外妊娠」を予防することができる。その結果、陸軍内の感染者を完全に把握すれば、陸軍の治療費負担額を劇的に減少させ、これらの感染を予防できる。

 一昔前は世界的に眼科の病気でトラコーマという感染症がありました。その原因微生物は、トラコーマ・クラミジアで、抗生物質で治療が可能です。ところが、目のトラコーマの原因クラミジアが今日では生殖・性器の病気を起こすようになりました。これも社会のなにかが変化した結果を示唆する現象と考えられます。

 性行為が関与する疾病は、衛生状態や経済状態が改善されても少なくなる類の病気ではありません。自分の体調の変化に気がついても、感染している身体の部位か生殖器が多いだけに、医師に見せるにも多少抵抗がありましょう。適切な治療を受けない性的活動度の高い人は、次のパートナーに感染させてしまいます。このような背景が性行為感染症を若者の間に広めている要因と考えられます。(MT90121)

 

 治療すれば治る病気であっても感染しない方が益しであることは確かです。感染源に近づかないことが賢明な策ですが、間違って近づいてしまった場合は、検査を受けましょう。周りの大切な人達のために。

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