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184.きわめて低いインフルエンザワクチンの接種率.3-5-2000.

 3月4日の全国紙朝刊の社会欄に「インフルエンザ今冬の死者152名、厚生省中間まとめ」という記事が掲載されていました。昨年のインフルエンザ様疾患の1月から3月までの死者は1287名と過去10年で最高であった。この冬のインフルエンザに関連した死亡者は2月24日までに厚生省に報告されたのは全国で125名であことがわかった。125名の死亡者の年令別にみち内訳は、80歳以上が74名(47.7%)と最も多く、60歳から70歳代が41(27%)名で、60歳以上が全体の4分の3(75.7%)を占めていた。1歳から4歳も11名と5歳から9歳は4名いた。ここに記載された年令層がハイリスク群と云われるゆえんです。

 ドイツ・ベルリン市にあるローベルト・コッホ研究所が発行している疫学公報(Epidemiologisches Bulletin 50:377-380, 1999)に「ドイツでのインフルエンザ予防接種の現状」という報告があります。コッホ研究所の常設ワクチン接種委員会によると、特に重点的に実施すべきインフルエンザ予防接種の対象は、慢性疾患の患者や60歳以上の高齢者、職業上特に感染リスクの高い者(医療従事者および不特定多数の人々と接触する者)とされています。そのハイリスク群の人々1190名を対象にインフルエンザワクチンについて電話によるアンケート調査を行いました。その結果は、9月1日から11月22日までにインフルエンザワクチンの接種を受けていたのはわずか18%にすぎなかった。しかも、最も接種率が低かったのは医療従事者の7%から10%であった。自らの感染予防のみならず、患者への感染を回避するためにも、ワクチン接種には最も高い関心が払われるべきであるのに、非常に残念な結果となったと述べています。

  予防接種に対して一般的に消極的である原因は、ワクチンによる副作用への不安、ワクチン接種によってインフルエンザに罹ってしまうのではないかという全く無智な懸念、またはハイリスクに対する認識の甘さなどが挙げられるようです。また今回のアンケート協力者のうち、自分が実際にハイリスク群に属することを認識していたのはわずかに25%であった、さらに既にワクチンを接種したことのある者のほうがワクチン接種には前向きであることが判ったそうです。

ロンドンでインフルエンザが大流行し病院が一時的にしろ「パニック状態」に陥ったようです。ベルリンに於けるハイリスク群でのワクチン接種率は18%であったようです。東京の医療従事者のワクチン接種率はどのていどになるのでしょう。患者を診た医師が患者からインフルエンザに感染し、別な患者へ感染の橋渡しをするような事態が万が一にも存在するとしたら、医療はどうなるのでしょう。「インフルエンザの流行期には体調が少しくらいおもわしくなくても病院にいかない方が賢明」などと考え、その間に病態が進行して手遅れになるようなことだけは避けたいものです。

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