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196.強酸性電解水と弱酸性電解水.5‐30-2,000.

1.はじめに.

  塩水を電気分解するとできる強酸性水と弱酸性水とがありますが、どちらの水がより強い殺菌作用をもっているのですかとの質問を受けることがよくあります。強酸性水の殺菌効果を装置の性能試験として調べた経験は多々あるのですが、弱酸性水については全く知りませんでしたので、このような質問に対しては残念ながら質問を送ってきてくれました方々が納得できるような具体的な情報で応えられないでいました。

  バイオメディカルサイエンス研究会から発行されている「ワールド フォーカス World Focus」のNo.9(2000年4月15日発行)に国立感染症研究所の生物活性物質部の室長堀田国元氏による「強酸性電解水」と題する《トピックス》が掲載されおり、そこに弱酸性電解水にも触れられていることを偶然に見つけ出しました。そこで電解水の概略を紹介します。

2.日本独自に開発された強酸性電解水.

  この解説・啓蒙書は短い文ですが、これを読んで、「強酸性電解水」という呼名は厚生省がつけたこと、強酸性水の製造法は日本で開発された新規な発明であること、この機能水にはWHOも注目していること、米国のFDAが消毒剤としての使用許可を出していること等をはじめ多くのことを学びました。

  強酸性電解水と弱酸性電解水のつくり方の基本的な違いは、電気分解する二本の電極の間に仕切りの隔膜があるか無いかの違いだけであるようです。食塩水を電気分解するのは両方とも同じなのですが、陽極と陰極の二本の電極が隔膜で隔てられ両極の反応生成物が交じり合わず、陽極側に低いpH(2.2〜2.7)の電解水としてできるのが強酸性電解水である。一方、二本の電極の間に隔膜のない状態で食塩水を電気分解すると、両極の反応生成物が混和するが、陰極反応でできる水酸イオン量が陽極反応でできる水素イオン量より多いため弱アルカリ性となってしまう。そこでpHを下げる調整剤を添加して食塩水を電気分解し、生成する水のpHを5〜6の弱酸性に調整しているのが弱酸性電解水と呼ばれているようです。弱酸性電解水の有効塩素濃度は強酸性電解水よりも高めに設定されているのだそうです。

3.強酸性電解水の殺菌力.

  強酸性電解水は、pHの低い次亜塩素酸液で、含まれる塩素と次亜塩素酸は15:85の構成比で存在する。強酸性電解水は、有機物の存在しない条件では、1000ppmの次亜塩素酸ソーダに匹敵する殺菌力を示すそうです。

  強酸性電解水の殺菌作用は、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方の病原細菌、および薬剤耐性菌(MRSAや緑膿菌など)、ウイルスなどに対して容易に殺す強い殺菌・殺ウイルス作用が証明されています。但し、効果が弱いのは、カビやセレウス菌(耐久性の芽胞をもつ)などです。

  評価できる特徴は、毒性が少ない、手荒れしない、分解されやすいので環境に優しい、ランニングコストが掛からない、耐性菌がでにくい、殺菌力が強い、着色しないなどが挙げられます。一方、ながく使用すると金属が錆び易い、長期間の保存ができない、塩素の臭気がある、殺菌効果が持続しないなどが指摘されているようです。

 

  この解説書には、弱酸性電解水についての記載は少なく、また強酸性電解水より有効塩素濃度はより高めに設定されているとあるが、どちらの殺菌力が強いかは明確な記載がありません。しかし、強酸性電解水の使い方を考慮すれば、ヨウ素系やアルコール系の常用の消毒剤よりは、「人にも環境にもやさしく効果的」な消毒剤であるようです。

  以前強酸性電解水を作る装置の性能を調べたことがあります。本体の価格や大きさおよび水の製造量は、商品により相当に違いがあり、更に殺菌性能も大きく異なることを経験しています。価格の高い製品が良いとも限らないとの印象をうけました。

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