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244. 生きているウジを用いる新しい生物手術.6‐1‐2001

生物手術またはウジ療法の誕生

奇妙な新しい治療法の有効性が英国の病院から発表されました。名づけて生物手術またはウジ療法とでも呼ばれるものです。床ずれ火傷、糖尿病による創傷や細菌の感染による外傷のような潰瘍の治療に好ましい治療有効を示すそうです。

血管外科が専門であるAnne Walker医師らは、足に潰瘍のある12名の患者の協力を得て生きているウジを用いて試験を行った。半数の患者は従来の薬剤による治療法で、あとの半数はウジを用いて治療した。その結果は、ウジの治療を受けた6人は、わずか3日で創傷部がきれいになった。従来の治療を受けた6人のうち、創傷がきれいになったのはわずか2人であったが、きれいになるまでに1ヶ月もかかった。残りの4人はそれ以上長期間の治療が必要であった。

治療する患部に特殊な親水性包帯を当てる、体長約2ミリの生まれてまもない無菌ウジを患部に入れる、その上を目の細かいナイロンメッシュで覆う。そのうえに吸湿ガーゼを当て、浸出液や液化した潰瘍組織を吸収させる。親水性包帯は、ウジが産生するタンバク分解酵素から無傷の皮膚を保護するために使う。ウジの酵素は、潰瘍組織を分解し更に液化させるので、ウジはこの液を吸い込むとされている。

生物手術の特徴は、壊死組織を取り除くだけでなく、創傷部の細菌を消化して殺すことで、臭気も減弱させることができる。更に傷の痛みを緩和することも示された。

小さな傷には、包帯1センチ平方あたり約10匹のウジが適当だそうで、指先の外傷には5〜6匹、太ももの深い傷には数百匹が必要となる。ウシが満腹となり組織を消化しなくなったら、患部から取り除く。

 

Walker医師も論文(J. Tissue Viability 10: 91-94, 2000)で言っているように、なかなかウジを使って貰えない、また「ウジに及び腰で、びくついているのは患者でなく医療スタッフだそうで、ウシを敬遠する患者はいない」そうです。しかし、薬剤抵抗性の細菌が増えている世界的な傾向を考えると、ウジによる治療は、薬剤抵抗性の細菌を生み出さないであろうから、今後有望な治療法となるのかも知れません。「青虫やウジ」は、昆虫が好きな人達にはなんの抵抗も無いかもしれませんが、私もウシを取り扱うのには少し嫌な気がし及び腰になると思います。

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