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257.生ゴミ処理機は安全ですか.

生ゴミ処理機用に開発した細菌叢の安全性について調べて貰えるかとの問い合わせを偶然に複数の企業から受けました。企業秘密なので詳しい説明は避けますが、自然環境から取り出した菌叢であるから人体には無害で安全と考えている。しかし、企業の責任として安全性を事前に確認しておきたい。開発担当者は、炭疽菌がいないことを証明して貰えますかとの希望を述べられました。

どこから仕入れた知識かは別にしても炭疽菌を否定したいとの希望は、企業秘密との理由で微生物の由来等の説明は受けなくても土壌か動物の糞からの細菌叢であるらしいことは簡単に推測できます。

そこで、破傷風菌やガス壊疽菌等も考慮の対象に入れて嫌気性細菌の検索も行う必要がありますよと説明を加えました。するとバチルス属の細菌からなっていると考えているから、嫌気性菌の探索は必要ないと思うとの答えが返ってきました。バチルス属の細菌でも嫌気性環境で増殖する細菌は存在しますから、試験費用との関係もありますから、強制はしませんが安全性を確認するには嫌気性細菌の検索も実施した方が賢明であると付け加えました。

カビ、納豆菌類似のバチルス属の細菌(多種、多数)や放線菌等が試験の結果、細菌叢の主体を構成していることが判りました。炭疽菌は検出されませんでした(存在しないことの意味ではありません)。しかし、これ以外に、菌叢からマウスを殺す細菌が検出されたのです。破傷風菌やボツリヌス菌に類似の嫌気性有芽胞桿菌が検出されました。これらの細菌の種を同定することはできませんでしたが、しかし、マウスに接種すると数日でマウスは麻痺の症状を示し死にました。納豆菌類似の細菌より数こそ少ないが、強力な毒素を産生する破傷風菌類似のクロストリジュウム属細菌の存在が判明しました。

 

「160. 家庭用生ゴミ処理機の微生物汚染」では、ボツリヌス菌などが混入する可能性を指摘しました。しかし、生ゴミとして新たに投入される廃棄物に付着している細菌による汚染と感染を心配する以前に、生ゴミ処理機に添付されている微生物叢に有毒な微生物が最初から混入している可能性があることが判明しました。自然界または土壌からの細菌を用いているから安全とは言い切れない事実を確認できました。

私共に試験を依頼してきた企業は、予想とは異なる結果に驚きを感じていました。そこで、病原性のありそうな細菌類を除いて新たに微生物叢を構築し、この新菌叢を用いて生ゴミ処理の性能試験を開始しているようです。

 

病原微生物が検出されないことが確認されていない生ゴミ処理機を使われている家庭では、添付されて来た菌叢には、取扱いによっては危ない細菌も含まれている可能性を頭から否定しないで欲しいと思います。直接手で触って皮膚に付着させないよう、菌床を吸い込まないよう、口に入らないよう注意した方が宜しいのではないかと思います。特に子供が生ゴミ処理機に触れないよう注意することが賢明かと思います。生ゴミ処理機を製造販売している企業の数は、千社になろうかとの勢いであるらしいです。生ゴミ処理機を製造販売している各企業にお願いがあります。製造者責任として、自然界から採取した菌叢を使用しているので安全と言う前に確認試験を是非実施して頂きたいのです。確認試験の実施は、消費者の安全のためだけでなく、会社の権威と名誉のためにも必要と思います。

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