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270. ペットからのカビ感染例12-30-2001.

珍しい動物をペットとして飼育する趣味が世界的にはやっているようです。猛毒で有名な毒蛇やサソリ、馬をも感電死させる電気ウナギ、人をも食ってしまうピラニア、手のひらに乗せられるくらい小さなサル、トラ、ライオン、ワニやビーバー等がけっこう売れるのだそうです。

19歳のドイツ人女性がペット(伴侶動物)としてフェレットを飼育していました。イタチ科のフェレットは、肉食動物であり臭気袋をもっているので、ウイルス学の分野では飼育しにくい動物と考えられています。ところがこの19歳の少女は、フェレットとの濃密な接触が原因で高いつけを払うことになったとドイツの皮膚科学の雑誌が報告しています。その概要を紹介します。

この少女は、痛みのあるシツコイ潰瘍が現われたので、皮膚科のお医者さんを訪ねました。最初に受診した時、この少女は上半身、腕と脛の患部をお医者さんに見せました。お医者さんは、がんこなカビの皮膚病(表在性白癬)と診断し、抗真菌薬の外用薬を処方しました。

ところが後日この少女は勇気を出して自分の恥丘をお医者さんに見せました。そこには、膿とカサブタのあるはれ物と炎症を伴う病巣がありました。それを診たお医者さんは、深部皮膚真菌感染症であると診断しました。抗真菌薬の局所投与と全身投与を行ったところ、4週間後には炎症と膿泡が消え、なんの痕も残らずに治ったそうです。

原因の皮膚真菌は、マウスなどのげっし動物に好んで寄生するカビであることが判りました。この原因カビがどうして恥丘の皮膚に入りこんだのでしょうか。お医者さんが聞いた結果、この患者はフェレットをペットとして飼っており、濃密に接触していたことが判明しました。その上珍しいことに、この少女は恥丘の恥毛を水でぬらしてカミソリで剃ることを習慣にしていたのだそうです。このようなことから、皮膚にできた小さな傷口からカビが入りこんだと考えられました。

水虫のカビ(白癬菌)を含め真菌に有効な抗真菌薬は数種類と少なく、特に真在性真菌症は一般に治しにくい病気です。この少女が恥毛をなにを目的に剃っていたのか、またフェレットとの濃密な接触の意味は判りませんが、「両生類のペット…・・ゲテモノ食い」でも紹介したように、ペットはいろいろな寄生虫や微生物を持っていることがあります。伴侶動物とは、寝起きから食事まで生涯付き合うことを意味する動物を指すのだそうです。ペットとの接触はほとほどにした方が安全であるようです。

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