447. 梅毒は増加、りん病は減少. 5-30-2006.
キーワード:梅毒 りん病 性感染症
CDCは、全米で届出が義務付けられている梅毒、りん病、クラミジアなどの性感染症に関するデータを発表した(Sexually Transmitted Diseases 32:S1-S80, 2005)。それによると梅毒は、4年連続で増加し、りん病は最低、クラミジアは増加傾向にあるとしている。
梅毒の全米の罹患率は、2000年が過去最低であったが、2003年の7,177例から2004年の7,980例へと増加した。特にアフリカ系米国人の梅毒罹患率は、1999〜2004年に10万人当たり14.3例から9.0例へと37%低下し、男性同性愛者が64%であった。しかし、2004年に10年ぶりに16.9%に増加し、2003年に10万人当たり7.7例であったのが2004年に9.0例に増加した。
りん病の全米罹患率は、2003年から2004年に10万人当たり115.2例から113.5例へと1.5%下落し、2004年に最低となった。りん病の治療薬にたいして耐性である症例が増加し、2003年の4.1%から2004年には6.8%に増加している。特に男性同性愛者は、異性愛者に比べて8倍(23.8%対2.9%)も高いという。
クラミジア感染は、2004年に92万9,462例で、全米の罹患率は5.9%も増加した。10万人当たり2003年の301.7例から2004年には319.6例になった。CDCは毎年280万例が罹患していると見ている。2004年には男性に比べて女性が3.3倍(10万人当たり485例対147.1例)であった。
今回の報告にあった3種類の性感染症は、その原因体が「スピロヘータ、細菌とクラミジア」と各々異なります。梅毒はスピロヘータ科に属するトレポネーマ・パリダムが原因菌であり、りん病はナイセリア属菌のりん菌が原因菌であり、クラミジアの性感染症は細菌に分類されるがウイルスに近いクラミジアのトラコーマ・クラミジアが原因体です。どれもこれも抗生物質による治療が有効ですが、感染部位が厳密な意味では体の外であることから、簡単に完治する病気ではありません。この類の病気を持った妊婦が出産するときは、生まれてくる赤子に対する影響も考慮することも必要となります。生まれたときから梅毒などという悲惨さは是非とも避けたいものです。「サワらぬカミにタタリなし」である。治療よりも予防が大切な疾病群です。