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532.アジア系女性乳ガンの低い発症率.8-20-09.
キーワード:幼少期、大豆摂取量、乳ガン
 
米国立ガン研究所ガン疫学・遺伝学のLarissa A. Korde博士らは、以前から白人女性ではアジア系女性と比べ乳ガンの罹患率が高いことが判っている。アジア系女性が米国に移住して数世代を経ると乳ガン発症率は上昇し、白人女性と同じになる。この差は遺伝によるものではなく、危険因子によると考えられる。我々は、この危険因子の同定を試みたと今回の研究の目的について説明している(Childhood Soy Intake and Breast Cancer Risk in Asian American Women. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 18(4): 1050-1059, 2009)。
 
サンフランシスコ、オークランド、ロサンゼルスおよびハワイ在住の中国系、日系およびフイリピン系の女性(20〜55才)のうち、乳ガン女性597例と健康女性966例を対象に、思春期および成人してからの食事と文化的習慣について聞き取り調査をした。
 
Korde博士らは、大豆の摂取量に応じて対象を3群に分け、最大接種群と最小接種群を比較検討した。その結果、幼少期に大豆を多量に摂取すると、乳ガンの発症リスクが60%低下することが明らかとなった。また思春期あるいは成人してから大豆を多量に摂取すると乳ガンの罹患率は20〜24%低下した。この幼少期の大豆摂取量と乳ガンの発症リスクとの関係は、人種、研究施設や乳ガンの家族歴などでも変わらなかった。
 
Korde博士は、幼少期の大豆摂取が乳ガンの発症におよぼす影響は、幼少期から成人にかけてのアジア特有のライフスタイルによって説明でき、大豆を幼少期に摂取すること自体が乳ガンの予防に働いている可能性があると指摘している。大豆イソフラボンに含まれるエストロゲン様成分が乳房組織に作用している可能性があり、動物実験でも大豆の摂取は乳房組織の成長を促進させ、発ガン物質への抵抗性を高めている可能性が示唆されているとしている。
 
 
この報告によると大豆を幼少期から大量に摂取することが乳ガンの発生予防に有効のように聞こえる。日本人は、大豆を含む食事を常日頃より大量に摂取している。地域によって多少の違いがあろうが、例えば、味噌汁、味噌料理、醤油、豆腐、油揚げ、稲荷すし、納豆などがすぐに思いつく。大豆イソフラボンに含まれる女性ホルモンのエストロゲン様成分は、摂りすぎると色々な副作用を示す可能性もある。過剰摂取は慎みたいものである。

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