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555. E型肝炎ワクチンの予防効果は100%
キーワード:E型肝炎、E型肝炎ワクチン、有効性、予防効果
 
中国アモイ大学の国立感染症診断・ワクチン開発研究所のNing-Shao Xia教授らは、遺伝子組み換え型E型肝炎ワクチンHEV239の有効性と安全性を検討し、成人に対して十分な認容性と有効性を有することが判ったと発表した(Lancet 376: 895 - 902, 2-10)。
 
中国江蘇州の16才〜65才の健康な成人をHEV239群(5万6,302例)とブラセボ群(B型肝炎ワクチン:5万6,302例)に無作為に分け、それぞれ0、1、6カ月目に3回接種した。追跡期間は6カ月で、最終接種後31日目から12カ月間のE型肝炎予防効果で最終判定した。
 
ワクチン接種まえに被験者のうち1万1,165例のE型肝炎ワクチン(HEV)に対する抗体を検査したところ、5,285例(47%)が陽性であった。HEV239群の4万8,693例(86%)とブラセボ群の4万8,663例(86%)が3回の接種を完了し、解析の対象とされた。
 
3回目の接種後30日経過してから12カ月の間にブラセボ群では15例でE型肝炎が発症したが、HEV239群では1例も発症せず、3回接種群のHEV239の有効性は100%であった。
 
このワクチン接種に起因すると考えられる重大な有害事象は認められなかった。さらに3回すべてワクチン接種を受けられなかった場合でも、HEV239は有効で、ワクチンの有効率は100パーセントであった。
 
 
E型肝炎は、E型肝炎ウイルスによる感染症で、A型肝炎と同じように経口感染で伝播し、食中毒の原因となります。主にインドや東南アジアを含む熱帯や亜熱帯の発展途上国で流行しています。急性肝炎で慢性化はしないのが特徴です。衛生状態が改善されていない世界中の地域で予防手段となり得るとしたこの研究成果は、ワクチンの投与により感染を予防できることを示唆しています。今後HEV関連の重大疾患と死亡リスクが最も高い人口集団におけるこのワクチンの安全性と有効性を評価するため、妊婦や幼児を含めて検討する必要がありましょう。またこのワクチンによる予防の有効期間も検討するべきと思われます。

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