◆ヒト免疫不全ウイルス [Human immunodeficiency virus]

 後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因ウイルス(HIV)で、HIV-1とHIV-2の2種類が存在する。HIV-2は、西アフリカでおもに分離される。エイズ患者の血液、精液、腟分泌物、母乳、唾液の中にHIVが存在することが知られている。ウイルス感染直後としばらくの間(平均12週、少数の人では数年)は、ウイルスに対する抗体は産生されない。感染後2〜4週間以内に発熱、倦怠感、関節痛などを伴い、1〜3か月内にHIVに対する抗体が陽性となる。エイズの症状や徴候は、体重減少、倦怠感、慢性の下痢、白血球減少症、ガンジダ症などを伴う。エイズの日和見感染症として、ヘルペスウイルス8型(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)によるカポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫、また中枢神経系感染症としてはトキソプラズマ原虫によるトキソプラズマ脳炎、JCウイルスによる進行性多発性白質脳症、クリプトコッカスやトリ型結核菌による髄膜炎が知られている。エイズからの完全な回復はないが、少数の患者は5年以上の長期間生存する。エイズ患者の死因の95%以上は、日和見感染症によります。HIVは変異を起こしやすいためワクチンなどの予防法は確立されていない。
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