◆インフルエンザウィルス [Influenzavirus]

 インフルエンザ(流行性感冒)の原因ウイルスで、A型、B型とC型の3種類がある。ヒトのみならずニワトリやアヒルなどの鳥類、ウマやブタなど多くの動物にも認められ、動物固有のウイルスが存在する。鳥類のウイルスは原則としてヒトに感染しない。A型インフルエンザウイルスが人集団で大流行を繰り返す。インフルエンザウイルスの感染を受けた患者特に小児や老人は、細菌による混合感染や重感染を受けると死亡することもある。クシャミと共に吐き出されウイルスによる空気感染である。しかし、マスクをしても感染を防ぐことは難しい。
ヒトのインフルエンザは、主にA型またはB型のインフルエンザウイルスにより起こされ、ウイルスを含む飛沫による感染のため短期間に人から人へと伝播する。ウイルス粒子の表面には赤血球凝集素HAとノイラミニダーゼNDと呼ばれる2種類の糖蛋白質が存在する。毎年流行を繰り返すのは、この2種類の糖蛋白質が次々に変化し、それまでに作られた免疫抗体では感染を防げなくなり、その結果大流行が起こると考えられる。老人、妊婦や慢性呼吸器疾患、心疾患などの病気をもつ人(ハイリスク群と呼ぶ)に感染すると心筋炎、心外膜炎、脳炎、脳症などを起こし、死亡することもあります。また肺炎の多くは、細菌感染をともない重篤になる。C型のインフルエンザウイルスは、大流行を起こすことはない。インフルエンザウイルスは、カモやアヒルなどの鳥類のウイルスがブタに感染し、その後ブタのウイルスが人に感染するといわれている。トリのA型インフルエンザ(H3、H5及びH7亜型)の中には強い中枢神経毒性をもつ強毒株があり、1998年香港でトリインフルエンザウイルスの強毒株によるヒトへの感染が初めて報告され、死亡者も出た。
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