◆クラミジア[Chlamydia]
クラミジアは、
1)核酸としてDNAとRNAの両方を持つ、
2)細胞壁を持つ、
3)二分裂によって増殖する、
4)化学療法剤に感受性を持つなどからリケッチアと共に細菌に分離される微生物である。
一方で、5)生きている細胞の中でなければ増殖できないという ウイルスに近い性質も持っている。
ヒトに病原性のあるクラミジアは現在次の3群に分類される。
T:トラコーマ・クラミジア(C. trachomatis);トラコーマや非りん菌性尿道炎、封入体結膜炎、性病性リンパ肉芽腫症などを起こす、
U:オウム病クラミジア(C. psittaci);オウム病を起こす、
V:肺炎クラミジア(C. pneumoniae);肺炎様の急性呼吸器感染症や中耳炎などを起こす。
クラミジアは (1)遺伝情報を担う核酸としてDNAとRNAの両方をもつこと (2)細胞壁をもつこと (3)二分裂によって増殖すること (4)化学療法剤に感受性(抗菌性)をもつこと、などからリケッチアとともに原核生物としての細胞を備えた最小細菌に属する微生物である。一方では生きている細胞内でなければ増殖できない偏性細胞寄生性という点でウイルスに近い性質ももっている。しかし、リケッチアとの違いは独特の増殖サイクルの有無、感染時に媒介する節足動物(ベクター)の存在の必要性、ATPを産生する代謝系の有無などの点である。クラミジアはグラム陰性で運動しない球状ないし楕円状(直径0.2-1.5μm)の細胞で、これは基本小体とよばれ、他の一般のグラム陰性細菌と化学組成が同じ細胞壁をもっている。
クラミジアが生きている宿主細胞内で増殖するときは、増殖環とよばれる特定のサイクルをもっている。すなわち、基本小体が宿主細胞へ侵入すると、その細胞内で感染力のない網様体に変化し、これが二分裂を繰り返してクラミジアの細胞数を増やしたのち、再び基本小体が成熟封入体となって、宿主細胞を破壊して宿主の細胞外へ放出される。この放出された基本小体が別の宿主細胞へ侵入する。クラミジアは人工培地で培養ができないので、その培養には発育鶏卵や脊椎動物の組織が用いられる。
現在、クラミジア科のクラミジア属とされ、ヒトに病原性があるクラミジアは
(1)トラコーマや非淋菌性尿道炎、封入体結膜炎、性病性リンパ肉芽腫症などをおこすトラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)
(2)オウム病をおこすオウム病クラミジア(C.psittaci)
(3)肺炎様の急性呼吸器感染症をおこす肺炎クラミジア(C.pneumoniae)
の3群に分けられている。
核酸
細胞壁
化学療法剤
リケッチア
原核生物
グラム陰性
細胞壁
病原性
トラコーマ・クラミジア
オウム病クラミジア
肺炎クラミジア
偏性細胞寄生性
成熟封入体